福富町の路地を曲がるまで
金曜の仕事帰り、私は電車に揺られて関内へ向かっていた。会議が三本続いた週の終わりで、正直なところ頭の芯が痺れていた。こういう日に酒だけ飲んで帰っても、翌朝に残るのは疲れだけである。
福富町という街は、伊勢佐木町の賑わいから一本入った途端に灯りの色が変わる。看板の数は多いのに、歩いている人間の足音がやけに響く。私は東京で遊ぶことが多いのだが、この街の少し湿った空気はどうにも忘れがたく、年に何度か足が向いてしまうのだ。
今回訪ねたのは、福富町 ジャパンクラブ JAPAN CLUB。横浜市のソープの中では建物に年季のある部類で、名前だけは以前から耳にしていた。指名は写真から選ぶ形式である。私が選んだのは、莉穂という二十一歳の女性であった。
関内駅から徒歩で数分。ビルの入口は驚くほど控えめだが、扉を押した先は調度の重さで空気が変わる。受付のスタッフは終始丁寧で、余計な言葉を一切挟まない。ここで一つだけ躓きがあった。案内を待っていると、莉穂が一時間ほど遅れるという。予定を組んで来ていた私は、素直に焦った。
帰るか待つか、五分ほど本気で迷った。
結局は待合室に通してもらい、出してもらったドリンクを片手に腰を下ろすことになる。待合はさほど広くはなく、夏場だったこともあって少し暑い。それでもスタッフが折を見て声をかけてくれるので、放り出された感じはしなかった。そういえば、隣に座っていた同年輩の紳士も似た事情だったらしく、目が合って苦笑いを交わしたのが妙におかしかった。
莉穂という女性の輪郭
扉が開いた瞬間
遅れを詫びながら現れた彼女を見て、私は待った甲斐があったと思い直した。童顔で、笑うと目尻がやわらかく下がる。写真より実物のほうが良いという、珍しい部類の女性である。
黒のロングヘアが照明を受けて艶を持つ。身長は百五十七センチと小柄なのに、胸から腰、そして尻へ抜けていく線が尋常ではない。細いのに出るところは出ている、という言い方は雑だが、実物を前にすると語彙が消える。「これはやばい」と、四十代の男が心の中で呟いた。グラビアの仕事でもしているのかと、本気で尋ねかけたほどである。
語彙が消えた、と書いたが誇張ではない。
肌はもちもちで、指を置くと沈む。シルクみたいな肌触り、という月並みな比喩を私は普段避けているのだが、この日ばかりは他に言葉が見つからなかった。
湯気のなかで距離が縮む
部屋に入ってからの所作が、これまた丁寧だった。上着を預かり、飲み物を用意し、こちらの緊張をほどくように他愛のない話をする。前職は英会話講師だそうで、話の運び方に妙な安定感があるのはそのせいかもしれない。
驚いたのは記憶力のほうである。私はずいぶん前に一度だけ彼女と会っているのだが、そのとき零した仕事の愚痴まで覚えていた。「あのプロジェクト、その後どうなりました?」と聞かれて、正直たじろいだ。営業のためだけにこれができる人間は、そう多くない。人を覚えるというのは、才能というより優しさの形だと私は思う。
湯はやや熱めに張られていた。
洗い場へ移り、二人で湯を使う。湯船に一緒に浸かりながら、彼女の身体をゆっくり確かめさせてもらった。湯気で視界が曖昧になるぶん、指先に入ってくる情報量だけが増えていく。腕の中の重みと体温が現実離れしていて、四十を過ぎた男が久しぶりに落ち着かなくなった。この先を無料の場所に書くのは、さすがに野暮というものだろう。
ルックス ★★★★★
スタイル ★★★★★
おっぱい ★★★★★
アソコ ★★★★☆
感度 ★★★★☆
性格 ★★★★★
帰り道の私が考えていたこと
店を出たのは、夜も深くなった頃合いだった。一時間待たされたぶん体力を削られていたはずなのに、足取りは軽い。駅までの道すがら、私はまだ湯の匂いを引きずっていた。
結局、腹が減って駅前のラーメン屋に寄った。カウンターで替え玉を待ちながら、遅刻の件をどう評価すべきか考えていたのだ。約束の時間が守られないのは、金を払う側として当然歓迎できない。ただ、あの一時間を差し引いてもなお釣りが来る内容であったことも、また事実であった。
店の造りは、率直に言って新しくはない。壁も調度も相応に古びている。それでも掃除と手入れが行き届いていて、くたびれた印象はまるで受けなかった。受付から見送りまでの一貫した所作も含め、高級店を名乗るだけの筋は通っていると言えよう。月明かりを思わせる控えめな照明の使い方も、この店の性格をよく表している。近ごろの新しい店にありがちな、明るすぎて生活感の出てしまう照明とは対極にあると言ってよい。古い建物を安く見せないというのは、実のところ相当に手間のかかる仕事なのだと、帰ってから改めて思った。
莉穂という女性については、正直まだ書き足りない。あの部屋で何が起きたのか、彼女がどこまで応じてくれたのか、そして私が次に何を頼むつもりでいるのか。その核心は投稿者限定のエリアに記した。同じ趣味を持つ方にだけ、静かにお伝えしたい。