金曜の夕方、鹿児島から熊本まで高速バスで三時間ちょい。
熊本で一泊することになった金曜の夜
取引先の都合で熊本市に泊まりが決まったのが水曜。俺は鹿児島の人間じゃっで、熊本は年に二、三回来る程度の土地じゃった。天文館はよかどと普段は言うとるが、たまには違う街の空気を吸うのも悪くない。
ホテルにチェックインして、下のコンビニでおにぎりと缶を買って、そのまま焼酎入った勢いで熊本のデリヘルを探し始めた。そこで名前が引っかかったのが熟年カップルという店じゃった。
五十代が主役という、ちょっと珍しい構えの店。南熊本から九品寺のあたりを中心に女の子を回している。デリヘルじゃっで、こっちが部屋を取って待つ形になる。写真を見て指名を入れて、あとは時間ちょうどにドアが鳴るのを待つだけ。90分で16,000円、室料は別。九州の相場からすると特別に安いわけでも高いわけでもない。
指名は写真を見て決める、いわゆる写真指名の形。フリーで任せることもできるが、俺は初めての店では必ず自分で選ぶことにしとる。誰を呼んだかを自分で決めとかんと、良かったときも悪かったときも次に活かせんからじゃ。
俺が選んだのは、かほさんという55歳の女性じゃった。
五十代の写真ばかり並んどるページを上から順に見ていくのは、慣れんうちは正直しんどい。ただ、この店の女性たちは妙に自然体で写っとって、盛りに盛った加工の海を泳がされる感じがない。そこは好感が持てた。
ドアの前に立っとった黒いワンピースの女性
最初の三秒でだいたい決まる
21時ちょうど、ノックの音。ドアを開けたら、黒いニットのワンピースに同じ色のカーディガンを羽織った女性が立っとった。身長は160くらい。写真より実物のほうが柔らかい。
「遅くなってすみません、道が混んどって」
そう言いながら靴を揃えて上がってくる所作が、なんというか、丁寧じゃった。Fカップという数字は事前に見て知っとったが、ニット越しの上半身は数字よりも存在感がある。ちょいぽっちゃり寄りの、もちもちした体つき。俺はこの手の体が好きじゃっで、この時点でもう勝ち確じゃった。
顔はどこか和風で、笑うと目が細くなる。派手さはない。ただ、若い子にはない落ち着きが最初から部屋の空気を変えとった。
十五分しゃべっただけで距離が縮んだ
ベッドの端に並んで座って、まずは世間話。俺が鹿児島から来たと言うたら、身を乗り出して「桜島って毎日灰が降るんですか」と真顔で聞いてくる。灰の話でひとしきり盛り上がった。
この人、とにかく聞き上手じゃった。こっちが話しとる間に一切かぶせてこんし、相槌の間の取り方が上手い。飲み物のキャップを開けて渡してくれたり、エアコンの温度を勝手に一度下げてくれたり、そういう細かい気配りが自然に出てくる。若い子の元気な接客とは種類が違う、大人の女性の間合いというやつじゃ。
前は接客業に長く立っとったらしい。誰でも名前を知っとるハンバーガーの店じゃ。人の顔色を読む癖はそこで付いたんじゃなかろうか、と勝手に納得した。
「私、けっこう天然って言われるんですよ」
本人はそう言って笑うが、天然というより肩の力の抜き方を知っとる人じゃと思う。こっちが緊張しとるのを察したうえで、あえてどうでもいい話から入ってくる。
正直、この十五分だけで料金の半分は元を取った気がした。
俺の勝手な採点はこうじゃ。
ルックス ★★★☆☆
スタイル ★★★★☆
おっぱい ★★★★★
アソコ ★★★★☆
感度 ★★★★☆
性格 ★★★★★
ルックスに三つしか付けとらんのは、美人系を期待していく店ではないという意味じゃ。癒し系という言葉がここまでハマる人も珍しい。性格は満点以外あり得ん。
帰りのバスで思い返しとったこと
そこから先はシャワーへ移動した。狭いユニットバスに二人で入ると肩がぶつかる。湯気で視界が白くなって、笑い声が壁に反響して、そこからは完全にこの人のペースじゃった。
途中、力加減がちょっと強いと感じた場面が一度だけあった。まあ、それも含めて生身の人間とやり取りしとる感じがしてよかったのかもしれん。
そういえば、終わってホテルを出たあと、深夜までやっとるラーメン屋に寄った。熊本ラーメンのにんにくチップが焼酎の残りを全部持っていってくれた。あの日はやばいくらい機嫌がよかったと思う。
翌朝の高速バスの中で、俺はスマホのメモに次はいつ熊本に来られるかを打ち込んどった。仕事の予定より先にそっちを考えとる時点で、答えは出とる。
90分の中身、どこまで許してもらえたか、そして次に呼ぶときに何を先に伝えておくべきか。そのへんは限定エリアのほうに全部書いた。