西へ二時間、その日は浜松まで走った
金曜の夜、仕事を無理やり片付けて東名に乗った。沼津に住んでいると、東へ出れば東京、西へ出れば名古屋か浜松という妙な位置にいる。東京まで出るか迷う距離感がいつも頭にあって、結局その日は西へハンドルを切った。理由らしい理由はない。前の週に東へ出て、あまり良くない引き方をしたから、今度は逆方向を試したくなっただけだったな。
八月の終わりでも夜の高速はまだ暑い。窓を開けると生ぬるい風が入ってくるだけで、エアコンを戻すはめになった。
浜松のインターを降りてから、駐車場を探して十五分ほど道に迷った。ナビが指した先が月極で、焦ったまま二周した。結局コンビニでコーヒーを買って一息つき、そこから徒歩でホテル街のほうへ歩いた。浜松駅の北側は、東部静岡の街に慣れた目には少し賑やかに映る。飲み屋の看板と、まだ営業している餃子の店の匂いが混ざっていた。
沼津の夜より人が多い。それだけで、遠出した意味が少しあった気がした。
東部静岡で遊ぼうとすると、選択肢はそれなりにあるようで、実際に条件を絞ると一気に細くなる。だったら東京まで新幹線で出たほうが早いんじゃないか、といつも考えて、その往復の時間と金を思い出して踏みとどまる。西へ二時間というのは、その葛藤から一度逃げるための距離だったのかもしれない。
i-doll あいどーる のしゅなと過ごした百分
この店は派遣型で、こちらが先に部屋を取ってから女の子が来る形になる。だから待合とか受付カウンターに座る時間はなくて、部屋で一人でシャワーを浴びながら待つことになる。コースは分数で区切られていて、写真を見て選ぶ指名と、二回目以降の指名は別扱い。この日は百分で二万四千円、部屋代は別、そこに指名の分が乗る形だった。案内から到着までは十分ちょっと。段取りは淡々としていて、その淡白さがむしろ楽だった。
ドアが開いた最初の三十秒
ノックの音がして、開けた瞬間に「お待たせしましたっ」と半分笑いながら入ってきた。百六十センチ、細いのに胸のあたりだけ主張がある体つきで、パネルで見た印象よりも肌の色が明るい。目が大きくて、視線の合わせ方が妙にうまい。挨拶が終わる前にもう会話が始まっていて、こっちが名乗るタイミングを完全に見失った。
ルックス ★★★★☆
スタイル ★★★★☆
おっぱい ★★★★☆
アソコ ★★★☆☆
感度 ★★★★★
性格 ★★★★★
触れてから分かったこと
シャワーの前に少し座って話した。二十一歳、この春に入ったばかりで、地元の子。仮面ライダーの話を振られて、こっちが知らないシリーズの名前を三つ並べられた。正直、面食らった。プレイの前の会話が本編と同じくらい濃くて、こちらのペースを最初から最後まで乱してくる。主導権を握っているつもりが、気づけば全部あっちの手のひらの上だった。
シャワーは二人で入った。狭いユニットバスで、こっちが背中を流されている途中に「せまっ」と本人が先に笑い出して、そこから空気が完全にほどけた。緊張していたのは自分のほうだったらしい。
肌が触れると、話しているときの勢いが急に引っ込む。腕に指を這わせただけで肩が上がって、さっきまでのマシンガンが嘘みたいに黙る。そのギャップに、たぶん多くの人がやられている。
面白いのは、そのあいだも気遣いが途切れないことだった。飲み物の位置を直したり、こっちの手が冷たいと気づいて握り直したり。派手な見た目と勢いの裏に、細かいところを見ている目がある。まじで、そこが一番怖いところだと思う。
ここから先は限定エリアに置いておく
ベッドに移ってからの百分は、正直この無料の側に全部は書けない。攻める側に回ったときの反応の落差と、そのあとに彼女のほうから出てきた提案。この二つが、この日を「浜松まで走ってよかった」に変えた部分だった。名前も店も上に出しているぶん、細かいところは限定エリアのほうに置いておく。指名するときのコツと、どの時間に当てに行くべきかも、そっちに書いた。
部屋を出たあとに残ったもの
この店で遊ぶなら、写真だけで決めるより、こういう会話の強い子に当てに行くほうが向いている気がする。淡々とした案内も、部屋で待つだけの導線も、そのぶん気楽だった。
ドアが閉まってから、しばらく部屋の椅子に座っていた。帰りの東名は空いていて、途中のサービスエリアでラーメンを食べた。そういえば、遊んでいるあいだ一度も時計を見なかったなと、そこで気づいた。
沼津に戻ったのは二時過ぎ。片道二時間の距離をまた走るかと聞かれたら、たぶん走るって感じかな。