本厚木で降りるか、そのまま新宿まで行くか
沼津の家を出たのが土曜の16時過ぎ。八月の終わりだというのに湿気だけがしつこく残っていて、駅までの徒歩十分で背中が汗だくになった。暑い。この時点で半分くらい帰りたかったな。
東海道線で小田原まで出て、小田急に乗り換える。いつもの、東京まで出るか迷う距離感というやつだ。新宿まで行けば選択肢は何倍にもなるけど、帰りの終電を数えた瞬間にやめた。本厚木で降りる。
駅の東口を出ると、思っていたよりビルが立っている。ロータリーの向こうに飲み屋の看板が固まっていて、週末はここで飲んだ人がそのまま流れていくんだろうな、という空気だった。ホテルが集まっているあたりまでは歩いて十分弱。派手さはないぶん、人目を気にせず歩けるのはありがたい。
女々艶 厚木店はデリヘルなので、店舗に出向くわけじゃない。先に部屋を押さえて、そこから案内が始まる形になる。指名は写真を見て選ぶやり方で、決めずに入る人も一定数いるらしい。今回は写真で決めた。90分で21000円、部屋代は別。沼津の相場で考えるとアタリの部類だったな。
部屋に入ってスタッフの人と一度やり取りしたあとは、ただ待つだけ。二十分くらい、テレビをつけたまま何も見ていない時間があった。コンビニで買った缶コーヒーがぬるくなっていくのを持て余していた、って感じかな。
琉唯(るい)が入ってきた最初の三十秒
ピンクの髪と、白すぎる部屋の照明
ノックが二回。ドアを開けたら、ピンクの髪が先に目に入った。写真そのままなんだけど、写真より輪郭が細い。158センチと聞いていたよりさらに小さく見えたのは、こっちが玄関の段差の上に立っていたからだ。
部屋の照明が白すぎて、最初は肌の色が飛んで見えた。ワンピースの上からでも胸の存在感は隠しきれていない。Gカップという数字より、袖から出ている腕の細さとの落差のほうが効いてくる。スレンダーという言葉で片付けるには、上半身の情報量が多すぎるんだよな。
「うわ、この部屋きれいですね」。第一声がそれだった。こっちが返す前にもう靴を脱いで入ってきていて、とにかくテンポが速い。
肩に手が乗ってからの温度
シャワーの前に、ふいに肩へ手が置かれた。冷房で冷えていた自分の肩に、思ったより高い体温が乗る。手のひらがもちもちしていて、爪の手入れをきちんとしている人の手だった。
背中を流してもらっているときに、腰の横に小さいタトゥーが入っているのが見えた。ワンポイントのやつ。聞いたら「それ十代のときに入れたやつです」と笑っていて、そこからまた話が別の方向に転がっていった。
六項目、思ったまま付ける
ルックス ★★★★☆
スタイル ★★★★☆
おっぱい ★★★★★
アソコ ★★★★☆
感度 ★★★★☆
性格 ★★★★★
性格に満点を付けたのは、単に明るいからじゃない。こっちが黙っている時間を怖がらない子で、間を埋めるためだけの相槌を打たないところが良かった。
笑わされているうちに、こっちが崩れていた
シャワーから戻った時点で、もう完全に会話に持っていかれていた。何を話したかというと本当にどうでもいい話ばかりで、一人で散歩するのが趣味だという話から、厚木のどの川沿いが歩きやすいかという話題に十分くらい使っている。まじでキャバクラに来たのかと思うくらい喋った。
面白いのは、喋りながら手だけが別の仕事をしていることだ。
こっちが笑っている隙に、いつのまにか着ているものが減っている。油断していると持っていかれる。テンポで押してくるタイプの子で、忍者みたいなやり方だなと思った。ソフトSもソフトMもどっちもいけるらしく、こっちの反応を見ながら立ち位置を切り替えてくる。攻めていい時間と、黙って受けるだけの時間が交互に来る。自分でペースを作るのが得意な人は、たぶん一回主導権を明け渡したほうが楽しめるタイプだと思う。こっちが何かを組み立てようとするたびに、ひとこと挟まれて全部やり直しになるので、途中から考えるのをやめた。ちなみに酒はお付き合い程度なら飲むらしく、こっちが持ち込んだ缶を一口だけもらっていた。
笑いながら息が上がっている、という状態が九十分続く。
ここから先で何がどうなったかは、無料で置いておく範囲を超えている。書ける形に整えて、続きは限定エリアのほうに置いた。
靴を履くまでの三分
終わって、彼女が先に服を着て、玄関で靴を履くまでの三分がいちばん静かだった。喋り倒したあとの反動みたいな時間で、こっちも特に何も言わずに見ていた。
「またね」と手を振って出ていったあと、テレビがずっとついたままだったことにようやく気づいた。
帰りの小田急で完全に寝落ちして、危うく小田原を通り過ぎるところだった。終電の乗り継ぎくらい先に調べておくべきだったな。