金曜の夜、仕事帰りにそのまま関内で降りた。もともとは同僚と飯を食って帰るだけの予定だったんだけど、向こうが急に来られなくなって、行き場のない三時間だけが手元に残ってしまった。真夏の駅前は生ぬるい風が抜けるだけで、立っているだけでも暑い。
福富町の裏通りで見つけた夜這い部屋
そのまま終電で帰るのも癪だったので、前から一度行ってみたかった店を思い出した。元町奥さま 横浜市。夜這いをコンセプトにした店舗型のヘルスで、福富町の仲通りに面したビルの二階にある。表通りから一本入るだけなのに、似たような雑居ビルが並んでいて正直ちょっと道に迷った。
ただ、迷った先が裏通りだったのは結果的にありがたかった。人通りが少なくて、入口の前で立ち止まっても誰も見ていない。
新しい店を開拓するのが好きなたちで、想像と実物のズレを味わうのが半分目的みたいなところがある。ところがこの日は珍しく先に情報を入れすぎていた。あおいという奥さまの枠が争奪戦になるらしい、というところまで知ってしまっていて、その時点で期待値が勝手に上がっていた。こうなると大抵は肩透かしを食らう。そう身構えて階段を上がった。
カーテンを開けたら待ちポーズのあおい
受付はあっさりしていた。スタッフの人が余計なことを一切聞いてこない。会員証を作って、待合室に通されてプレイシートを書く。待合室はこぢんまりというか、はっきり言うと狭い。ソファに二人座ったらもう終わりくらいのサイズだ。ただ部屋数が四つしかないぶん、案内の流れは全然詰まらなかった。書き終えて十分ほどで名前を呼ばれて、そのまま三号室へ。シャワーで隅々まで洗って、部屋のカーテンの前に立つ。
開けたら、あおいがベッドの上で待ちポーズを作って固まっていた。
これが想像以上に効く。
ノースリーブにミニのプリーツスカート。聞いたら店が用意した衣装ではなく、本人が自腹で揃えている個人衣装なんだそうだ。月ごとに何着も入れ替えているらしく、次に来たら全然違う格好になっていると笑っていた。三十三歳、身長は百五十五センチでFカップ。数字だけ並べると想像はつくと思うけれど、実物はもっとむちむちしていて、二の腕も腿もやわらかい。肌がとにかくスベスベで、肩に手を置いた瞬間に「あ、これは長引くやつだ」と腹をくくった。
おやつを食べながらの雑談から始まる
てっきりすぐ押し倒す流れかと思ったら、あおいがコンビニの袋からおやつを出してきた。夜這いの店なのに、まず菓子を食べながら世間話をする時間がある。「食べます?」と当たり前みたいに差し出されて、こっちの組み立てが完全に崩れた。天然ボケっぽい喋り方で、旦那さんの話とか、来月の衣装の構想とかをのんびり話す。
この時間、まじで無駄がない。緊張が先に抜けて、互いの体温が上がりきってから始まるので、後半の入り方がまるで違ってくる。
アイマスクを渡されたところで空気が変わる
袋を片付けたあと、あおいが小さなアイマスクを手に取った。こっちがつけるのかと思ったら、彼女が自分でつける。「これ、つけたほうがわたし変になるので」と言われて、素直にお願いした。
視界を塞いだ状態で背中を指の腹でなぞると、それだけでビクンと肩が跳ねた。性感帯は背中だと本人が言っていたとおりで、肩甲骨のあいだをゆっくり撫でていくと声のトーンが一段落ちる。ここでもう、当初の身構えは無駄になったと分かった。
この先どこまで転がっていったのかは、限定エリアのほうにまとめて置いた。使った道具の本数も、終わり方も、そっちに全部書いてある。
帰りの電車で反芻したこと
ルックス ★★★★☆
スタイル ★★★★☆
おっぱい ★★★★★
アソコ ★★★★☆
感度 ★★★★★
性格 ★★★★★
終わったあとのピロートークがとにかく長い。時間ぎりぎりまで喋っていて、最後は二人で慌ててシャワーを浴びた。ビルを出て、伊勢佐木町のほうまで歩いてラーメンを食って帰った。
ひとつだけ引っかかったのは序盤の力加減で、こっちが好みを口に出すまでは終始やさしすぎた。攻めたいのか攻められたいのかを先に伝えたほうが、六十五分は確実に濃くなる。
予想外だったのは、いちばん記憶に残ったのがプレイの山場じゃなくて前後の雑談だったことだ。菓子を食べながらの十分と、終わったあとの十分。あれがあるかないかで、この店は全然違う商売になっていたと思う。嬉しい誤算というのはこういうことを言うんだろう。
次は別の衣装で、と言われて部屋を出た。たぶんまた行く。