関内の裏通り、四十三歳を指名した夜
金曜だった。午後の打ち合わせを早めに切り上げ、電車を乗り継いで関内で降りた。改札を出て伊勢佐木町の方角へ徒歩で十分ほど。福富町の細い通りに入ると、看板の光が一段と密になる。この界隈は昔から夜が長い。私はこの雑然とした空気が嫌いではない。
熟女10000円デリヘルを選んだのは、四十代の女性を正面から主役に据えている店だからである。三十代後半で熟女を名乗らせる店が多いなか、ここは四十を越えた人が当たり前の顔で並んでいる。年齢を隠さない店は、たいてい中身で勝負している。
決め手は愛子さんの写メ日記だった。この人は自分がその日どう扱われたかを、かなり細かいところまで文章にする。何をされて、そのとき自分の体がどうなったか。読み手の想像に任せる書き方をしない。ああいう文章を書ける人が実際どう振る舞うのか、私はそれが知りたかった。
料金は六十分で一万二千円、室料は別。二択フリーなら一万一千円まで下がる。店名が掲げている一万円という数字は、看板倒れではなかった。
安いから期待しない。その読み方は、この店には当てはまらない。
受付の対応は丁寧であった。当日でも枠が残っていれば拾ってくれるし、こちらの希望を潰さずに落としどころを探ってくれる。指名は写真から選ぶ形で、二人から選ばせるフリー枠もある。ただしその日は繁忙で、四十分ほど遅れると先に知らせが入った。ホテルの狭い部屋で四十分待つのは、正直けっこう長い。八月の関内は夜になっても暑い。エアコンの効きが悪い部屋で、私は上着を脱いで座っていた。
そういえば、待つあいだにコンビニで缶コーヒーを買ったのだが、それもとうに飲み干した。
扉が開いて、愛子さんが立っていた
白いブラウスと、ほどいた髪
21時39分、ようやくノックがあった。扉を開けると、白いブラウスに黒のスカートの女性が立っていて、開口一番「遅くなってごめんなさい」と頭を下げた。声が思ったより高い。四十三歳という数字から想像していた落ち着きとは、少し違う入り方であった。
髪は後ろで一度まとめてあったが、部屋に入るとすぐにほどいた。156cmでGカップという申告は伊達ではなく、ブラウスの上からでもその重さが分かる。ただ、彼女はそれを売りにする素振りを見せない。むしろ体の話をされるのを少し照れているように見えた。
笑うと目尻に皺が寄る。私はこの皺のある笑い方が好きだ。
会話は終始自然体であった。こちらの仕事の話を聞き役として面白がり、旅行の話になると急に前のめりになる。次はどこへ行きたいという話を、荷物も置かないまま延々としていた。四十分待たされたときの苛立ちは、この五分ですっかり消えていた。
肩に回された指先
湯を使う前に、少し話をした。旅行の話、仕事の話。こちらが聞く側に回ると、彼女はよく喋る。距離が縮まったのは、彼女が「肩、凝ってません?」と言って背中側に回り込んだときであった。指の力加減がいい。押す場所を探りながら少しずつ体重を乗せていく、揉み慣れた人の押し方をする。
「私、こっちのほうが得意かも」と彼女は笑った。冗談のつもりだったのだろうが、この時点で私はもう、この人を選んで正解だったと思っていた。
浴室は狭かった。二人で入ると肘がぶつかる。彼女が湯を出しながら、湯温を何度も手の甲で確かめていたのを覚えている。絹のようになめらかな肌、という言い方をこの歳の人に使う日が来るとは思わなかった。
ここから先の一時間は、限定エリアに置く。
帰りの根岸線で考えていたこと
終電の一本前に間に合った。車内は金曜らしく混んでいて、私は吊り革につかまりながら、さっきまでの時間を頭の中で並べ直していた。
感じ方の中身は限定側に書くが、一つだけここで言えるのは、この人は演技をしないということである。出るときは出るし、出ないときは出ない。そこを取り繕わないから、こちらも余計な気を遣わずに済む。四十三という年齢を隠さず、むしろ材料として使っている人であった。二十代にはできない受け止め方をする、と言えよう。
不満があるとすれば待ち時間の連絡だけで、もう少し早ければ先に食事を済ませられた。それ以外に文句はない。
五段階で置いておく。
ルックス ★★★☆☆
スタイル ★★★★☆
おっぱい ★★★★★
アソコ ★★★★☆
感度 ★★★★★
性格 ★★★★☆
この夜の中身は、この下の限定エリアに記した。再訪を心に決めた相手だけに、同好の紳士諸兄にもお伝えしておきたい。