立川で途中下車した金曜の夜
金曜の夜、八王子の取引先を出たのが二十時半過ぎであった。中央線に乗り込んだところで、このまま真っ直ぐ帰るのも芸がないのではないか、と思い直した。それで立川で降りた。
八月の夜だというのに、改札を出た瞬間の空気が生ぬるく重い。ワイシャツの背中が張り付いて不快であった。
以前から気になっていたのが「すぐ舐めたくて学園 立川」という店である。名前の押し出しは強いが、在籍している女性の顔ぶれは落ち着いていて、私の好みに近い。曙町のホテルを先に押さえてから、二十一時過ぎに電話を入れた。
指名したのは、あかりさんという二十二歳。プロフィールの写真で、目の印象だけが妙に強く残っていた女性である。
あかりさんという二十二歳
到着まで四十分と言われた。コンビニで買った缶コーヒーを飲みながら待ったのだが、氷が溶けきる前に飲み終えるつもりが、結局半分残した。どうでもいい話である。
ノックは控えめであった。ドアを開けると、写真より小柄な女性が立っている。156cmと聞いてはいたが、実際に目の前に立たれると、もうひとまわり華奢に見えた。
「はじめまして、あかりです」
声が思いのほか低い。おっとりしているという評判は本当で、言葉の一つ一つがゆっくりと置かれていく。緊張しているというより、この人はもともとこの速度で喋るのだと分かった。
黒髪はまっすぐで、部屋の照明の下でつややかに光っている。目が大きい。本人がチャームポイントに挙げているだけのことはあり、正面から見つめられると、こちらの視線の置き所が分からなくなった。
体つきは細い。ただ細いだけではなく、華奢な骨格に対して胸だけが明らかに過剰であった。服の上からでも分かる。
評価を記しておく。
ルックス ★★★★☆
スタイル ★★★★☆
おっぱい ★★★★☆
アソコ ★★★★☆
感度 ★★★★☆
性格 ★★★★★
性格だけ満点を付けたのは、二時間を通して一度もこちらに気を遣わせなかったからである。これは若い書き手が思うよりずっと難しい。
二時間で起きたこと
部屋に上がってから
私が上着を脱ぐあいだ、彼女は部屋の隅で荷物を整えていた。座ると、隣ではなく正面の椅子に腰を下ろす。距離の取り方が上手いと言えよう。
牛タンが好きだという話になった。プロフィールにそう書いてあったのを覚えていたので振ってみたところ、目に見えて食いついてきた。去年、仙台まで一人で食べに行ったことがあるらしい。二十二歳が一人で新幹線に乗って牛タンを食べに行く画を想像して、少し笑ってしまった。
ここまでで十五分ほど使っている。急かす気配は一切ない。
シャワーを出たあと
浴室が狭い。曙町のこのホテルは古く、二人で立つと肘がぶつかる。しかも空調が効きすぎていて、出た瞬間に肌が冷えた。店の落ち度ではないが、記録として書いておく。
彼女の手はよく動いた。泡をまとった手のひらが、ぬるぬると背中から腰へ降りていく。振り向かされて、そのまま胸に舌が来た。シャワーの中でここまでやるのは店の売りの一つらしいが、正直、この時点で一度持っていかれかけた。
ベッドに移ってからは、彼女が主導した。上に乗られて、首筋から胸、腹へと舌が降りていく。順番に迷いがない。
こちらから触れると、反応が素直に返ってくる。太腿の内側に手を這わせたとき、腰がビクビクと跳ねた。演技には見えなかった。
「やばい、そこ弱いです」
そう言って肩に顔を埋めてくる。二十二歳らしいと言ってしまえばそれまでだが、こういう場面で嘘をつかないのは、この仕事では貴重である。
ただ、手の力加減にはまだ迷いがあった。ここぞという場面でわずかに弱い。回数を重ねればすぐ解決する類のもので、減点というほどではない。
そこから先の流れについては、限定エリアに回す。
別れ際と、その後
支度をしながら、彼女は次の出勤日を教えてくれた。営業ではなく、ただの世間話としてであった。
「また牛タンの店、教えてくださいね」
ドアの前でそう言われ、こちらが返事をする前に深く頭を下げて出て行った。
私はしばらく部屋に残り、空調を切ってから外に出た。立川駅までの道でラーメン屋の行列を見かけ、並ぶかどうか三分ほど迷ったが、結局やめた。二十三時過ぎの中央線は思ったより空いていて、座って帰ることができた。
再訪は決めている。
あの二時間が最後にどういう形へ辿り着いたのか、そして予約の勘所と彼女の扱い方については、限定エリアに記した。