木曜の午後、仕事の打ち合わせが一本流れた。
空いた三時間をどう使うか。日比谷線の電車に揺られながら考えているうちに、気づけば三ノ輪で降りる支度をしていた。四十を過ぎてからの寄り道は、たいてい行き先が決まっているものである。
千束へ向かった理由
吉原に通うようになって、もう十五年近くになる。若い頃は店の看板や煽り文句で選んでいたが、この歳になると、選ぶ基準はスタッフの物腰と待合室の空気に移った。マキシム東京は、その意味で以前から気にかけていた一軒であった。
駅から電話を入れると、送迎の車がほどなく現れた。九月も下旬だというのに、駅前のアスファルトはまだ蒸し暑い。細かい雨が降ったり止んだりしていて、傘を置いてきたことを少しだけ後悔した。
店に着くと席へ通され、おしぼりと冷たい麦茶が出てきた。受付の男性は年配の方が多い。言葉に無駄がなく、それでいて冷たくない。支払いを済ませるまでの数分で、この店が客をどう扱いたいのかがおおよそ伝わってくる。この価格帯でここまで細やかな応対は、そう多くないと言えよう。
待合のテレビでは、昼のワイドショーが行列の絶えないラーメン屋を映していた。そういえば昼を食べ損ねていたと、そこで思い出す。隣の席の若い客は誰かと電話をしていて、「マジで?今から?」と小声で笑っていた。平日の昼下がりの待合は、案外こういう生活の音で満ちている。
元客室乗務員という女性
カーテンの先に立っていた人
名前を呼ばれ、2階へ続く階段とは反対側の通路へ進むと、彼女が待っていた。かりんさん、23歳。
明るい茶色の長い髪に、淡い色の柔らかな服。ドレスで出迎える女性が多い中で、休日に駅前で待ち合わせた恋人みたいな、ごく自然体の装いであった。写真で受けた印象より、目の前の本人のほうがずっと柔らかい。
166cmの背丈にHカップと聞けば、派手な女性を思い浮かべる方も多いだろう。けれど実際の彼女は、微笑み方も声の高さも控えめだった。
「本日はお越しいただき、ありがとうございます」
そう言って私の手を取る。その所作に、機内で何百回と繰り返してきたであろう礼儀の名残があった。前職は外資系の航空会社で客室乗務員、その後は図書館で司書をしていたという。聞けば聞くほど、この街との距離が不思議な経歴である。
一輪挿しのある部屋
部屋の棚には一輪挿しが置かれ、紫の小さな秋の花が活けてあった。活け花は曾祖父の代から家にあるものだと、彼女は少し照れたように言う。照明はやや落とされ、アロマが焚かれていた。
ひとつだけ正直に書いておく。香りは少し強かった。鼻の鈍い私でも、入った瞬間に軽くむせたほどである。換気扇を回してもらうと、すぐに気にならなくなったのだが。
ベッドの端に並んで腰掛け、しばらく話をした。彼女は私の肩のあたりをじっと見て、「学生の頃、何か泳いでいらっしゃいました?」と訊いた。水泳部にいたのは三十年も前の話だ。当てられたことより、初対面の相手をそこまで見ていることに驚かされた。
会話の間合いが心地よい。こちらが黙れば黙り、話したくなれば聞き手に回ってくれる。ホスピタリティという言葉を私は仕事で何度も使ってきたが、その実物に触れた気がした。
湯船から先は限定エリアへ
洗い場で体を流してもらい、湯船に並んで浸かる。肌は透けるように白く、湯の中で触れた腕はもちっとしていて、シルクのような手触りであった。
穏やかな会話のまま、ふとした拍子に空気が変わる。話しているときの彼女と、湯から上がったあとの彼女とでは、目の色がはっきり違っていた。
その先、マットとベッドで何があったかは、限定エリアにだけ記しておく。ひとつだけ言えば、落ち着いた会話の印象は、良い方向に裏切られた。
三ノ輪駅までの帰り道で
ルックス:★★★★★
アソコ:★★★★☆
スタイル:★★★★★
感度:★★★★☆
おっぱい:★★★★★
性格:★★★★★
帰りも送迎の車で駅まで送ってもらった。雨はいつの間にか上がり、車窓を流れる千束の路地が濡れて光っていた。
駅前のコンビニで缶コーヒーを買い、ホームのベンチで飲みながら今日の時間を思い返す。派手さで押してくる女性ではない。むしろ静かで、話していると時計を忘れる。そのうえで、ここぞという場面では別の顔を見せる。その振れ幅こそが、彼女を指名する理由になると言えよう。
難を言えば、人気ゆえに枠が埋まりやすいことだろうか。思い立った日に会える相手ではないのが、少し惜しい。
次の予約は、もう頭の中で入れてある。
マットからベッドまでの記録と、予約を取るときの段取りは、限定エリアで。