関内の雨、日記の笑顔に賭けた日曜
九月最後の日曜、昼過ぎから細い雨が降っていた。横浜で夕方から飲み会が入っており、その前にぽっかり空いた三時間をどう使うか。私の出した答えは、関内の熟女の風俗最終章 横浜本店である。
この店を選ぶ理由は単純だ。若さを売りにする店へ通う歳でもなく、四十を過ぎた身には、同じだけ年輪を重ねた女性と向き合う時間のほうが性に合う。「最終章」という自虐めいた店名の響きにも、妙な潔さを感じている。
指名する相手は前から決めていた。写メ日記を毎晩のように開いては、甲子園の結果に一喜一憂する文面と、飾らない笑顔を眺めていたのだ。野球好きの女性に悪い人はいない、というのが私の持論でもある。
電話口のスタッフは親切で、ホテルに入ったら一報をくださいと言う。ところが関内駅から徒歩で向かう途中、ビニール傘の骨が一本折れた。濡れた肩のままフロントに立つ四十男の姿は、我ながら情けない。
まっすぐな瞳を持つ四十八歳
ドアの向こうの白い肌
部屋に入って連絡を入れると、予定より二十分も早くノックが鳴った。「雨、大丈夫でした?」――ドアを開けた瞬間の第一声がそれである。
こちらをまっすぐに見上げる瞳に、一瞬言葉を失う。
目鼻立ちのくっきりした美人で、日記の写真と寸分違わない。いや、実物のほうがいくらか若く見えるかもしれない。驚いたのは肌の白さで、陶器の人形を思わせる白が照明を柔らかく跳ね返していた。腕に触れるともちもちと吸いつき、四十八という数字をどこに隠しているのか、しばし考え込んでしまう。細い腰から脚への線もよく締まっていて、本人は「ダイエットしなきゃ」と笑うけれど、どう見ても先に始めるべきは私のほうだろう。話す声は少し鼻にかかった甘い響きで、笑うと目尻にだけ柔らかな皺が寄る。その皺がまた、作り物ではない年齢の美しさを教えてくれる。若い女性の完璧な肌理とは別の、手に吸いつくような温度のある白さ。こればかりは写真では伝わらない種類のものだと思う。
黒髪を耳にかける仕草が、ときおり挟まる。その耳たぶが妙に目に残った。
野球談義で縮まる距離
ソファに並んで座ると、話題はすぐに野球へ転がった。私がベイスターズの継投を嘆けば、彼女は「あそこで代えるのは早いですよね」と身を乗り出してくる。ここまで話の通じる相手は、飲み仲間にもそうはいない。甲子園での胴上げを見届けた話になると、彼女の目がいっそう輝いた。
そういえば、と彼女が言う。関内で美味しい店を探すなら、見た目の汚い町中華を選ぶこと。暖簾が色褪せているほど当たりなのだそうだ。この一言で、私はすっかり彼女の信者になった。
気取りのない話しぶりの奥に、こちらの沈黙を先回りして埋める気遣いがある。近すぎず遠すぎず、その間合いが実に巧い。初対面の固さは、十分もしないうちに溶けていた。
話し上手というより、聞き上手なのだ。
六十分の入口だけを置いていく
シャワーはあらかじめ済ませてあった。そう伝えると彼女は「じゃあ、このまま」と微笑み、ゆっくりと唇を重ねてくる。
そのキスが、とにかく長い。浅く触れては離れ、また深くなる。ねっとりとした間合いに身を任せているうちに、雨音も飲み会の予定も頭から消えていった。
その先で彼女がどれほど献身的だったか、私がどこで白旗を上げたかは、限定エリアに記す。ここでは、この女性と過ごす時間には受け身の瞬間がほとんど無い、とだけ書いておきたい。
私なりの評価を残しておく。
ルックス:★★★★★
スタイル:★★★★☆
おっぱい:★★★★☆
アソコ:★★★★★
感度:★★★★★
性格:★★★★★
中華街へは向かわなかった夕暮れ
ホテルを出ると雨は上がっていた。飲み会までまだ一時間ある。私は彼女の教えに従い、伊勢佐木町の路地で、暖簾がいちばんくたびれた町中華を探して歩いた。
頼んだのはラーメンと半チャーハン。ぶっちゃけ、店構えを見たときは少し不安だった。ところがスープを一口すすった瞬間、思わず「まじで旨いな」と独り言が漏れる。彼女の持論は正しかったと言えよう。
料金は拍子抜けするほど良心的で、財布より先に心のほうが満たされる相手であった。次の雨の日曜も、きっと私は同じ番号に電話をかけている。
六十分の核心と、彼女を指名するときのコツは限定エリアにて。