九月も終わりの火曜日、朝の七時四十分。山手線の電車を鶯谷駅で降りると、ホームの向こうに寛永寺の杜が濡れて黒く光っていた。夜半まで降った雨がようやく上がったところで、北口の坂には水たまりがいくつも残っていた。
朝イチの一枠を取りにいった理由
鶯谷デリヘル倶楽部の名前は以前から知っていた。台東区のこのあたりで遊ぶとき、財布に優しい店として何度か候補に挙がりながら、結局いつも別の店に落ち着いていたのである。
気が変わったのは、ある一人の出勤がなかなか取れないと知ってからだ。みかという二十四歳の女性で、出勤の知らせが出たと思えば数時間で枠が埋まる。人気というものは、理由もなく集まるものではない。そう考えるのが私の性分である。
前夜、知らせが出た瞬間に電話を入れた。受話器の向こうの男性スタッフは落ち着いた声の年配の方で、「朝の一番早い枠でしたら、まだひとつございます」と言う。朝は得意ではないが、迷っている暇はなかった。
そういうわけで、四十を過ぎた男が雨上がりの朝に鶯谷の坂を上っている。
正直に書いておくと、ホテル選びでひとつ失敗した。駅から近い一軒を目指したら、朝の時間帯にもかかわらず受付に三組ほど並んでいて、十分近く待たされたのである。平日の朝を甘く見ていた。部屋に入ったのは約束の五分前で、上着を掛ける余裕もなかった。
ドアの向こうの笑顔と、袖をつまむ指
玄関先で見たもの
ノックの音に扉を開けると、肩の下まで伸びた髪の女性が、少し首をかしげて立っていた。背は私の胸のあたりまでしかない。それでも縮こまった印象は少しもなく、背筋の伸びた、きちんとした立ち姿であった。
目元はやや切れ長の二重で、笑うと途端にやわらかくなる。
とびきりの美人と書けば嘘になるだろう。けれど、話し始めて三十秒もしないうちに、そんな採点はどうでもよくなっていた。
「朝早くからありがとうございます。雨、大丈夫でしたか?」
挨拶の言葉づかいが丁寧で、それでいて硬くない。目上への礼儀と、人懐っこさの配分がちょうどいい。こういう塩梅は教えて身につくものではないと、私は思う。
薄手のニットの上からでは分からなかったが、体の線は細く、腰の位置が高い。胸元にだけ、服の上からでも隠しきれない量感がある。小柄な体とのその落差が、玄関先の数秒で私の目を奪ったことは白状しておく。
ソファで肩が触れるまで
支払いを済ませてソファに並ぶと、彼女は迷わず私の側に体を寄せてきた。膝と膝が触れる距離である。話の途中で、ふと私のシャツの袖口を指でつまむ。無意識なのか計算なのか、判別のつかない仕草だった。
聞けば、競馬が好きなのだという。私も若い頃は府中へよく通ったので、秋の開催の話でひとしきり盛り上がった。天皇賞にはまだ早いが、彼女は菊花賞の話をしたがった。朝の八時にホテルの一室で馬の話をしている四十男というのは、なかなか滑稽な図であろう。
「ぎゅってしてもいいですか?」
返事をする前に、もう腕が回っていた。まじで、と若い連中のような言葉が喉まで出かかった。
シルクのような、と言いたくなる肌の手触りだったが、それ以上にこちらの体温を確かめるような抱きつき方が印象に残った。相手に興味を持って、こちらのことを知ろうとしてくれる。その姿勢が、会話にも触れ方にも一貫している女性であった。
この先は限定の頁に
シャワーの湯気の中で何があったか、ベッドに移ってからの時間がどう流れたか。そこは、彼女の名前を出している以上、誰にでも読める場所には書かないことにした。
ひとつだけ言っておくと、彼女のキスは挨拶の延長ではない。唇を重ねるたびに少しずつ深くなり、気づけばこちらが追いかける側に回っている。その変化の過程に、私はずいぶんと長い時間を使った。
ただ、軽い不満もある。浴室のシャワーヘッドが古く、湯温が安定しなかった。これは彼女ではなくホテルの話であるが、次は部屋を選び直すつもりだ。
駅までの帰り道で考えたこと
別れ際、玄関で彼女はもう一度だけ短く抱きついてきた。時間が止まったような、と書くと大げさに聞こえるだろうか。それでも、ドアが閉まったあとしばらく廊下に立っていたのは事実である。
ホテルを出ると、雲の切れ間から日が差して、水たまりが眩しかった。駅前の立ち食い蕎麦屋でかき揚げ蕎麦をすすりながら、次の出勤の知らせをどうやって逃さずに拾うか、そればかり考えていた。
蕎麦の味は、ほとんど覚えていない。
派手な美貌で押してくるタイプではない。会っている時間のすべてが心地よく、別れたそばからまた会いたくなる。そういう種類の魅力を持った女性と言えよう。
ルックス:★★★★☆
スタイル:★★★★★
おっぱい:★★★★★
アソコ:★★★★☆
感度:★★★★☆
性格:★★★★★
浴室からベッドまでの一部始終と、あの朝どこまで許されたのか。予約を取るための段取りも含めて、限定エリアに記しておく。