一ヶ月待ちの予約が、ふいに空いた
私は数を追う遊び方をやめて久しい。月に一度で構わないから、その一度を厚くしたい。四十を過ぎてからずっとそうである。
この店のこの女性を狙うと決めてから、私は出勤表を眺めるだけの日々を送っていた。ネット予約の枠は開いた端から消える。通常なら一ヶ月待ちだと聞かされていた。
八月のある木曜、午後の仕事の合間にスマートフォンを開いた。翌日の夕方、いちばん良い時間帯に予約ボタンが灯っている。キャンセルが出たのであろう。指のほうが先に動いていた。
正直、やばいと思った。
予定を前倒ししてまで押さえた自分に少し呆れたが、この種の幸運は見送ると二度と巡ってこない。翌日、私は仕事を早めに切り上げて電車に乗った。
そういえば、鶯谷という街は駅を出た瞬間の匂いで正体が知れる。焼肉の煙と、ホテルの看板と、その隙間を縫う細い路地。三十分も早く着いてしまった私は、北口の立ち食い蕎麦屋で冷やしたぬきを啜って時間を潰した。八月の夕方は暑い日が続いていて、汗が引くまでに水を二杯もらった。余談であるが、あの蕎麦屋には次も寄ると思う。
鶯谷駅北口から、ホテルの扉が閉まるまで
北口の改札前で待っていた人
キャップを目深にかぶり、細い縁の眼鏡をかけた人が立っていた。第一印象は快活で、少しボーイッシュ。写真から想像していた妖艶さとは正反対であった。
ところが声を聞いて面食らう。高く、柔らかく、笑うと語尾が跳ねる。
「お待たせしちゃいましたか?」
「いえ、蕎麦を食べていました」
他愛のない会話をしながら腕を組む。組んだ瞬間、私は理解した。この人は、下に何も着けていない。肘に触れているのはシルクのような肌の感触そのもので、布が一枚も挟まっていないのである。
人通りのある表通りを避け、事前に調べておいた裏道へ折れた。まだ日の残る時間帯である。すれ違う人の視線が近く、私のほうが焦った。彼女は涼しい顔で、時折こちらの腕を胸のほうへ引き寄せる。
部屋に入って、三分後には
店へ一報を入れる、あの数分の儀式がある。受話器を置く前に、彼女の手はもう私のベルトにかかっていた。即プレイという言い方は味気ないが、実際そうとしか書きようがない。
シャワーは無しでいい、と彼女が言った。目隠しをされ、ストッキングで手首を緩く縛られる。視界を奪われると、皮膚が耳の代わりを始める。ぬるぬると首筋から胸、脇腹へ降りていく舌。腿がビクビクと勝手に跳ねるのが自分でも分かった。
全身リップが得意だとは聞いていたが、聞きしに勝るものであった。口を使った技も引き出しが多く、緩急の付け方が上手い。ただ、序盤の手の力加減はやや強く、そこだけは好みが分かれると言えよう。
部屋は正直、狭い。エレベーターは最上階まで一度上がってから降りる造りで、その箱の中でも彼女は大人しくしていなかった。扉が開くたびに肝を冷やす。
最後の十分で起きたこと
生のまま迎え入れられ、そのまま最後まで抜かずに終わった。NNである。
断っておくが、こちらから交渉した覚えはない。彼女のほうが、それを当たり前の手順として組み込んでいた。押し付けがましさがなく、気付いたときにはもう戻れない位置にいる。この運び方こそ、この人のいちばん恐ろしいところだと思う。
彼女の代名詞とされているものについては、最後のシャワーで、とだけ書いておく。私自身にその趣味はないのだが、断る隙もなく差し出される背徳感は、他所ではまず手に入らない類のものであった。
二回戦を促されたものの、私は一度に入魂する型なので辞退した。残りの時間は並んで寝転がったまま、小物屋巡りが好きだという話を聞いていた。嘘の匂いがしない人である。
また一ヶ月待つ価値があるか
ルックス:★★★★☆
スタイル:★★★★☆
おっぱい:★★★★★
アソコ:★★★★☆
感度:★★★★☆
性格:★★★★★
帰りは終電までまだ間があったので、一駅ぶん歩いてから電車に乗った。缶コーヒーを買って、さっきまでの時間を反芻する。久しぶりに、帰り道が短く感じられた。
結論を書く。私はまた一ヶ月待つ。待ってもいいと思える相手は、そう多くない。
本稿の相手が誰であるかは、有料エリアで明かす。彼女の名前と、店の名、そして公式ページへの道筋を。