フリーで入った日に、名前だけもらって帰った
吉原のシーザースパレスに最初に入ったのは、指名なしのフリーだった。その日に付いてくれた子が、上がり際に「次はまゆちゃんね、絶対」と言ってきて、名前だけメモして帰った。同じ店の女の子が別の子を勧めてくるって、けっこう珍しい。自分の指名が減る話でもあるのに、迷いなく名前を出してくるなら、その相手は店の中でそれなりに信用されているんだろうと思った。
それから一ヶ月ちょっと空けて、火曜の午前にようやく枠が取れた。ソープはやっぱり、こういう誰かの推薦で動いたときのほうが外さない。
店は千束四丁目。日比谷線の三ノ輪から徒歩で十分ちょっと、大関横丁の側から入っていく形になる。営業は朝九時から深夜十二時まで。予約はネットのフォームからでも電話でも取れて、自分はネットで枠を押さえてから、当日の朝に確認の電話を入れた。料金は総額で、六十分の一番下が二万二千円。上のコースまで行っても三万八千五百円で収まる。入浴料込みでこの数字は、吉原の中ではかなり下のほうだと思う。
受付は一階の待合で、料金の確認とコース決めをしてから席に座る形。パネルから選ぶやり方も残っているけれど、指名が決まっているなら名前を言えばそれで終わり。ドリンクを渡されて、あとは呼ばれるまで待つだけ。初めての店は待ち時間が長いと不安になるものだけれど、この日は五分もかからなかった。
ただ、遅刻が怖くて電車を一本早いのにしたせいで、十五分も余った。自販機の前でスマホをいじって時間を潰したのは我ながら情けない。
まゆは、こっちが喋る前に手を握ってきた
待合で頭の中を回っていたこと
座っている間ずっと考えていたのは、勧められて来たという事実の重さだった。前情報が良すぎる相手ほど、実物に会ったときの落差が怖い。しかも聞いていたのは148cmという数字で、こっちが緊張して縮こまったら絵面として相当まずい。うわ、これ妙な空気になったらどうする、とマジで焦った。
待合の椅子が異様に固かったのも、落ち着かなさに加担していたと思う。
実際に口から出たのは天気の話だった
出てきたまゆは、こっちが名乗るより先に手を取って「暑かったでしょ、待たせてごめんね」と笑った。で、自分の第一声が「いや、今日ほんと残暑がすごくて」。何を言っているんだ。
部屋までの短い距離で、会話の主導権はもう完全に向こうにあった。前職は飲食のホールとキッチンだったらしくて、人との間合いの詰め方が明らかに接客業のそれ。声の高さも歩幅も、こっちに合わせて調整してくる。小柄な子が隣に来ると距離が近く見えるのは知っているけれど、この人のそれは物理的な近さというより、話しかけ方の近さだった。
洗い場で分かった、この店を格安と呼ぶのは違う
部屋に入って、まずはシャワーから。ここまでは普通なんだけれど、洗い方が丁寧すぎて、途中でこっちが手持ち無沙汰になる時間があった。首の後ろから背中、腰の順に手を滑らせてきて、泡の感触が他の店より明らかに粘る。石鹸の種類なのか泡立て方なのかは分からない。ただ、二万二千円からの店でここまでやるのかと思った。文句をひとつだけ言うなら、力加減がずっと優しいままで、背中はもう少し強くてもよかった。
部屋のエアコンが効きすぎていて、最初の数分は普通に寒い。まゆがすぐ気づいて温度を上げてくれたので実害はなかったけれど、あれは先に言ってくれてもよかった。
肌はもちもちで、密着されると体温がそのまま伝わってくる。Eカップという数字以上に、148cmの身体に対して立体的だった。
この人は即プレイのオプションを受けている。こっちが望めば洗い場を飛ばして始められる形で、この日は普通に洗ってもらう順番を選んだ。結果的にはそれで正解だったけれど、次は逆をやると思う。
マットの上で何が起きたかは、ここから先は書かない。ひとつだけ言っておくと、この人の武器は口と手にあって、それが本人の自己申告どおりだったということ。
店名も名前も上に出しているので伏せる意味がない。代わりに、どこまで通るのかという話と、枠の取り方は限定エリアに置いておく。
入浴料込みで見たときの、正直なところ
ルックス ★★★★☆
スタイル ★★★★☆
おっぱい ★★★★★
アソコ ★★★★☆
感度 ★★★★☆
性格 ★★★★★
総額二万二千円から入れる店で、この接客とこの技術が出てくるのはバランスがおかしい。値段だけ見て素通りしていた自分が悪かった、という感想に落ち着いた。
帰りは三ノ輪まで戻って、立ち食いそばで冷やしをかき込むだけの遅い昼飯にした。そばを待つあいだ、次はいつ入るかをずっと考えていた。あの日に名前を教えてくれた子には、ちゃんと礼を言っておきたい。