ソープ通いの人間が、なぜ渋谷で部屋を取ったか
普段はソープしか行かない。入浴料込みで二時間、泡とマットで組み立てられた流れが体に合っているからで、ヘルス系の店はもう何年も行っていなかった。
それが崩れたのは、会社の後輩に「渋谷じゃっくすのあんさん、一回行ってきてくださいよ」と真顔で言われたからだった。普段そういう押し方をしてこない男が、二週間で二回、同じ名前を出してきた。そこまで言うなら、って感じで予定を空けた。
ソープはやっぱり移動が重い。吉原まで出ると半日つぶれる。渋谷なら仕事帰りに電車を一本乗り換えるだけで着いてしまう。理由の半分はそれだった。
もうひとつ、金の勘定もあった。ソープは入浴料込みで考える癖がついていて、二時間で三万を超えるのが当たり前になっている。その感覚のまま値段表を眺めると、渋谷のこの手の店は一時間半でだいぶ下に収まる。安いぶん中身も薄いんだろうと勝手に決めつけていて、その決めつけを確かめに行くくらいの気持ちだった。要するに、期待はしていなかった。
お盆明けの渋谷、坂の上のホテルまで
行ったのは八月の月曜。夕方の17時過ぎで、まだ日が高くて暑い。駅を出た瞬間に背中にシャツが貼りついて、スクランブルを渡るだけで一回心が折れた。
そういえば渋谷で遊ぶのは久しぶりだった。道玄坂の途中の景色が記憶とまるきり入れ替わっていて、コンビニで水を買いながら地図アプリを二回見直した。坂の名前は覚えているのに、店の並びが何ひとつ合っていない。
先に部屋を取ってから連絡を入れる段取りだったので、フロントで鍵を受け取る手が少し焦った。慣れないことをやると、こういう場面で挙動が変になる。
部屋は狭い。ベッドと洗面所でほぼ終わり。
ソープの広い浴室に慣れた体だと、ここで頭を切り替える作業が要る。これは同じ看板の遊びじゃない、と自分に言い聞かせながらエアコンを最低温度まで下げた。
あんさんという看護師さん
店に連絡したとき、受け身寄りの子がいいと伝えた。そこで返ってきた名前が後輩の推していた子と同じで、迷う余地がなくなった。写メ日記を遡ると出勤の告知がまめで、文章は短くて素っ気ないくらい。宣伝くさくないのが逆に良かった。
ドアを開けたら、笑い方のほうが先に来た。「暑かったでしょ、汗すごい」って感じで、こっちの惨状を見て笑っている。159cm、パッと見はスポーツをやっていそうな細い体つきで、腕も脚もすっと伸びている。
服を脱いでからが違った。色白で、肌がすべすべしている。Eカップという数字より形の話で、おわん型がきれいに残っていた。腰がきゅっと締まっているぶん尻が大きく見えて、細いのに必要なところには肉がついている、というやつだった。
ここで一度だけ、来る前に立てていた仮説を思い出した。安い店は回転を上げるために手順を短くしていて、シャワーからベッドまでが流れ作業になる、という仮説。ソープで二時間の枠に慣れていると、九十分という数字がどうしても足りない箱に見えるからで、正直そこを一番疑って来ていた。ところが実際は逆で、時間が短いことを前提に組み立てられていた。無駄な移動が無い、脱がせる順番に迷いが無い、こっちが何を言うかを待つ時間が無い。九十分の使い方が上手いというのは、こういうことかと思った。
話を聞いたら現役の看護師さんで、出身は鹿児島。夜勤明けにそのまま入る日もあるらしい。「病院のほうが体力使いますよ」と笑っていて、その喋りが妙に落ち着いている。鹿児島の話から実家の畑の話まで脱線して、気づいたら五分くらい服も脱がずに喋っていた。
泡もマットも無い代わりに
シャワーは一緒に入った。マットも泡洗体も無い遊びだから、ソープの手順が染みついた体には最初の数分が手持ち無沙汰になる。泡の感触が間に入らないぶん、肌がそのまま当たるのは新鮮だった。
そこからのキスが、この日の本題だった。舌が長くて厚みがある。口の中でぬるぬる動かされて、気づいたら攻める側から引きずり降ろされていた。ソープの子でも、ここまでキスに時間を使う人はあまりいない。
ベッドに移ってからは何度か攻守が入れ替わった。乳首と耳が弱いと先に自己申告してきたので、そこを丁寧にやったら反応が素直で、ビクビクしながら「そこ、ずるいって」と言われた。まじで声の出し方がうまい。
面白かったのは、こっちが手を止めると向こうが必ず次を用意してくることだった。息が上がったタイミングで体勢を変えてきたり、こっちの手を自分の胸に持っていったり、間が空きそうになると耳元に口を寄せてくる。段取りをなぞっているというより、その場で拾って返している感じで、90分のうちに空白の時間が一度も無かった。看護師をやっていると人の様子を見る癖がつくのかもしれない、と後から思った。
そこは素直に負けた。
ここから先、最後までの流れは限定エリアのほうに書いた。無料側に全部並べると、さすがに怒られる。
六項目で点をつけるなら
ルックス ★★★★☆
スタイル ★★★★★
おっぱい ★★★★☆
アソコ ★★★☆☆
感度 ★★★★☆
性格 ★★★★★
手コキの力加減だけ、途中で一度強すぎた。すぐ「痛い?」と聞いて調整してくれたので実害は無かったけれど、そこだけちょっと惜しい。あとは部屋が狭いのを彼女のせいにしないでほしい、というだけの話だった。
帰りは坂を下って、腹が減ったので駅の反対側でラーメンを食って帰った。ぶっちゃけ、ソープ以外はコスパで負けると思い込んでいた。90分、指名料を足しても吉原の二時間より安い。その前提が音を立てて崩れた日だった。
後輩には翌朝ちゃんと礼を言っておいた。