祇園を出て、湖のほとりへ
木曜の午前、祇園の裏で前の晩に飲みすぎて、頭の芯がまだ重かったな。仕事は午後から入れてあったのを、朝のうちに全部前倒しで片付けた。
京都は表と裏があって、表の顔で疲れた日ほど、体は裏のほうへ向く。ただこの日は市内で済ませる気になれなくて、湖のほうまで足を伸ばすことにした。京都駅から湖西線で三十分ちょっと。距離としては近いのに、気分の上ではやたら遠い。
真夏の滋賀は暑い。
駅を降りてから徒歩で十分ほど歩いただけで、シャツの背中が肌に張り付いた。途中のコンビニで冷えたお茶を買って、半分は店の前で立ったまま飲んだ。汗が引くのを待っている時間が、いちばん落ち着かなかったな。
そういえばこの前も同じ湖西線に乗って、堅田までラーメンを食いに行っただけで帰ってきた。あのときは何もせずに引き返したわけで、我ながらよく分からない行動ではある。
AMOUAGE アムアージュの建物は、雄琴のなかでも新しいほうだ。駐車場でスタッフが手を挙げて車を誘導していて、バイクや車で来る客のほうが多いらしい。ロビーは照明が落としてあって静かで、待っているあいだにアイスコーヒーが出てきた。
待合の椅子には先客がふたり座っていた。目が合わない角度を作って腰を下ろすあの数分だけは、何度通っても慣れないな。
アンケートの希望欄には「キス多め」とだけ書いた。書いてから少し照れて、最後の一字が崩れた。
白い浴衣と、その奥 — 吉高れいな
目に入ったもの
扉が開いて、浴衣のれいなが立っていた。八月のあいだは浴衣で出ているそうだ。写真で見ていた印象より、実物のほうがずっと柔らかい。二十八歳という数字から想像するより落ち着いていて、こちらの間合いを崩さない立ち方をする人だったな。
合わせから鎖骨だけが覗いていて、その下は全部こちらの想像に投げてくる。作り込んだ露出じゃないぶん、目のやり場が最後まで定まらなかった。
162センチ。並ぶと目線がちょうどいい高さにくる。帯の上あたりでGカップが窮屈そうにしていて、視線の置き場に焦った。
部屋まで廊下を並んで歩く。浴衣の女性の隣を歩く機会なんて、祇園の雰囲気でもそうそう回ってこない。この十数歩がこの日いちばん贅沢だったかもしれない。
手が触れた温度
部屋に入るなり、何も言わずに唇を重ねてきた。「ずっと待ってたんです」と小さい声で言われて、こちらの組み立てが一瞬で崩れた。
肌はもちもちしていて、体温が高い。首筋に鼻を近づけると石鹸の匂いがして、そこで真夏の外気のことを完全に忘れた。触れているだけで手のひらが吸い付いてくる。
抱き寄せると、帯の結び目が腹に当たった。硬いものが一つあるだけで、布の下の柔らかさが余計にはっきりする。
やばい、これは長く保たないな、と早い段階で思った。
六つの物差しで測ると
ルックス ★★★★★
スタイル ★★★★☆
おっぱい ★★★★★
アソコ ★★★★☆
感度 ★★★★☆
性格 ★★★★★
アソコと感度に星をひとつ残したのは、百分では見きわめきれなかったからで、悪い意味ではない。
粋かどうかで言えば、この人はかなり粋な側にいる。自分から動いてくるのに、押し付けがましさがない。こちらの呼吸を奪わないまま、気づくと先に立っている。ぶっちゃけ、雄琴でこの手の距離感に当たったのは久しぶりではある。
洗い場の湯気から先は書けない
部屋そのものは広い。ソファとベッドと洗い場が分かれていて、動線で気を遣わずに済む。窓がないぶん時間の感覚は消えるが、そこは狙ってそうしてあるんだろう。汗を拭くタオルが冷やしてあったのは、細かいが効いた。
洗体の手際には文句のつけようがなかった。ローションを手のひらで温めてから乗せてきて、ぬるぬるの膜が背中に広がっていく。ただ、力加減は最初の一分だけ少し強かった。「痛くないですか」と聞かれて「もう少し弱いほうが好きです」と返したら、そこから先はぴたりと合った。ちょっと惜しいのはその出だしだけ。
洗い場からベッドに移ってから何があったのかは、ここには書かない。
無料で読めるところに全部並べてしまうのは、粋じゃないと思っている。続きは限定エリアのほうにまとめてある。
百分は体感で三十分だった。部屋を出るとき、廊下がやけに明るく感じたな。帰りの電車で窓の外の湖を眺めながら、次はもっと長いコースにしようと考えていた。琵琶湖が夕方の光でぼんやりオレンジになっていて、そこだけはよく覚えている。