巣鴨の丁字路で二階に上げられた十五分
木曜の午前、仕事の合間に抜けてきた。池袋から都営三田線で数駅、巣鴨の駅を出て徒歩八分ほど。地図を見ながら歩いていたのに一度道に迷い、コンビニの前で立ち止まって画面をにらむ羽目になった。暑い日で、着いた時点でシャツが背中に貼りついていた。
汗だくで着いた。
華椿は丁字路の交差点にぽつんと建っている。看板は控えめなのだが、角地で人通りがあるぶん、扉に手をかけるのに一拍ためらう。回春を舐めるなと普段えらそうに言っている自分でも、ここはためらった。
受付で先に精算する。この日は四十五分で一万八千円、室料込み。写真を見て指名する形で、指名料が別に乗る。支払いが終わると「二階でお待ちくださいね」と案内され、階段を上がって待合に通された。
待合は正直狭い。ソファと雑誌があるだけで、先客と目が合わないように互いにうつむく時間が続く。呼ばれたらまた一階に降りて対面、という動線になっていて、この上げて下げる導線が結果として焦らしとして効いている。設計の意図なのかは知らないが、待たされた十五分ぶんだけ期待の目盛りが上がったのは確かだ。
正直、この待ち時間がいちばんきつい。
三十代のお姉さんだけを揃えた箱で、客層も静かだった。スタッフの喋り方は淡々としているが、雑さはない。
櫻澤れおなの施術カルテ
圧より先に、間の取り方だった
手技がね、と自分はすぐ口にするのだが、この人の場合は手より先に間が来る。部屋に入って腰を下ろした瞬間から、次に何が来るか読ませない置き方をしてくる。指が触れるまでの一秒が、やたら長い。
触り始めてからは、指の腹で面を作って圧をかけ、抜くときにわざと遅らせてくる。この抜き方がうまい人は本当に少ない。ただ最初の一往復だけは力加減が強めで、こちらが息を止めてしまった。慣らしの一手だったのかもしれないが、そこは惜しい。
手を止められる人は強い。
肩から背中に降りるところで一度手を止め、そのまま体温だけを預けてくる時間があった。動かさない時間を持てるかどうかで、自分はこの世界の人を見分けている。動かし続けるのは誰にでもできる。止めて、相手が次を待ち始めるまで待てる人は少ない。
この人は待てる。
トークも達者だった。前職が営業だと聞いて腑に落ちた。沈黙が気まずくなる手前で必ず何かを放り込んでくるし、こちらが返しやすい球しか投げてこない。「今日、暑かったでしょ」の一言から、気づけば十分ほど世間話をしていた。会話の技術も手技のうちだと自分は考えている。
水着で出てきた時点で密着度の話は終わっている
密着度でいうと、この日は反則だった。夏らしい水着姿で出迎えられ、スポーティなキレカワモデル系という言い方がそのまま口から出てくる立ち姿。T160でGカップという数字だけ見ると重そうに響くが、実物は無駄がなくて軽い。
これはずるい。
正面から抱きつかれると、肌がもちっと沈む。この沈み方は写真では絶対に分からない。抱き心地という評価軸があるなら満点をつける。やばい、と声に出てしまったのは久しぶりだった。
ちなみに、この人は自分から手を出してくるタイプでもある。受け身に見える顔をしておいて、こちらが油断した瞬間に前に出てくる。その切り替えの話は限定側に回す。
四軸に入る前に、共通のほうも埋めておく。
ルックス ★★★★★
スタイル ★★★★★
おっぱい ★★★★☆
アソコ ★★★★☆
感度 ★★★★★
性格 ★★★★★
焦らしの入口までは書いておく
シャワーは一緒に入る。自分の評価軸ではここが施術の入口で、この人はここから既に組み立てている。抜きより過程が大事、というのが持論なのだが、その持論を本人にそのまま返された気分になった。洗われている時点で主導権はもう手元にない。
ここから先、どこで焦らしが効いて、どこで解放に持っていかれたのか。順序も、こちらの崩れ方も含めて、限定エリアのほうにまとめて置いておく。無料で書けるのは入口までだ。
四軸で言うとこうなる
手技は四点五、密着度は五点満点、焦らしのレベルは四点五、解放感は五。四十五分という短いコースで四軸すべてが四点台後半に乗るのは、自分の記録でもそう多くない。数字を下げた理由は、さっき書いた最初の力加減ひとつだけで、それも二往復目には解消していたから、実質は減点というより注釈に近い。四十五分のなかで導入から解放までの山を一度ずつきれいに置いてくる設計力のほうを、自分はよほど高く買う。回春でも箱でも、結局は時間の配り方が全部を決める。
惜しかったのは、部屋の空調が効きすぎていたことくらい。水着一枚で立たせておくには寒いだろうと、途中で自分のほうが気になった。
そこだけは店に言いたい。
次は七十五分で取る。四十五分だと、この人の間の取り方を味わい切る前に終わってしまう。
帰りに巣鴨でラーメンを食べて戻ったのだが、味をまるで覚えていない。そういう午後だった。