池袋西口、日曜二十時の呼び出し
私は脚を見に行く男である。胸の大きい子がいると分かれば、たいていの同好の士は写真の胸を見る。私は同じ一枚の、下三分の一しか見ていない。
八月の日曜、池袋。地上に出た瞬間に生ぬるい風が来て、シャツが背中に貼りついた。とにかく暑い。西口のホテルを自分で押さえて、部屋に入ってから電話を入れた。
池袋という街は、脚を見るには少しうるさい。西口の駅前は人が多すぎて、歩いている女性の脚を落ち着いて観察できたためしがない。だから私は室内で見ることにしている。金を払って、正面から、明るいところで見る。健全な趣味だと思っている。
E+アイドルスクール池袋店を選んだ理由は単純である。在籍の写真を上から順に流していたときに、一人だけ立ち姿の重心が良い子がいた。とうか、二十歳。プロフィールに並ぶ数字はIカップの一点張りで、脚の情報はどこにも書かれていない。書かれていないから行く。脚線美とは、店が売り文句にしていない場所にこそ残っているものだ。
二十歳の脚を、順番に見ていく
黒タイツの上から
ドアが開いた。
第一声が「こんばんはー! この部屋あっつくない?」で、こちらが用意していた挨拶は全部飛んだ。短いスカートに黒のタイツ。パンスト越しの光り方でおおよその厚さは分かるもので、この日は四十デニールほどの、脚のラインを潰さずに影だけ足すやつだった。分かっている人間が選んだ一足だと思う。
この太ももからふくらはぎのラインが、二十歳にしては出来上がりすぎている。正面から見ると細いのに、座って組み替えた瞬間に横へ広がる。若い子特有の、脂肪がまだ柔らかいまま乗っている感じ。膝の内側に薄く影が入って、そこから下がすっと締まっていく。
シャワーへ向かう三歩のあいだ、私は彼女の話を半分も聞いていなかった。
脱いだあとの生脚
タイツを脱いだ生脚は、正直に言えば予想より白かった。ギャルという看板から想像していた色ではない。日焼けの境目が足首の上に一本だけ残っていて、サンダルの跡だとすぐ分かる。
足首の細さがポイントである。ここが太いと、上がどれだけ良くても全体が重く見えてしまう。彼女の足首は、親指と中指で輪を作って余るくらいだった。ふくらはぎは山が低く、位置が高い。要するに、立っているときに脚が長く見える型だ。
膝の皿の形も付け足しておく。ここが丸く小さいと脚全体が幼く見えるのだが、彼女は少し角張っていて、そのぶん大人びた印象になる。顔とのギャップという意味では、これがいちばん効いていた。
ボディソープでぬるぬるになった手で、私は太ももの外側を上から下までなぞった。素晴らしい。二回そう言ったらしく、「なにがー?」と真顔で聞き返された。
評価を置いておく。
ルックス ★★★★★
スタイル ★★★★★
おっぱい ★★★★★
アソコ ★★★☆☆
感度 ★★★★☆
性格 ★★★★★
胸の欄に満点を付けてはいるが、私の採点は脚に配点の六割がある。参考程度に読んでいただきたい。
ベッドに上がるまでの十五分
シャワーを出てからも、彼女はずっと喋っていた。専門は飲酒と喫煙とギャンブルらしい。「今月もう二回負けてるんだけど、まじで」と言いながら、私の脚の上に自分の脚を乗せてくる。この動作が完全に無意識なのが良い。
部屋が狭いホテルで、ベッドの脇に立つと膝がぶつかる。私はその位置から、彼女の右の太ももだけを見ていた。照明を落とす前の、まだ蛍光灯が当たっている状態の太もも。あれを見られただけで、この日は元が取れていた。
そこから先の切り替わりが、この子の本領だろう。電気が落ちた瞬間に声のトーンが半音下がる。さっきまでギャンブルの話をしていた人間と同じ口から、まったく別の音が出てくる。背中がゾクゾクした。
「もう黙っててよ」
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そういえば帰りに、駅前のラーメン屋へ寄った。券売機の前で財布を開いたら万券が一枚も残っておらず、少し焦った。コンビニで下ろしてから並び直したので、電車は一本後になった。脚を見に行った日はだいたいこうなる。
総合すると、二十歳でこの脚は事故に近い。胸で選んだ人間が結果的に脚へ持っていかれる構造になっていて、店側もたぶん気づいていない。批評をひとつ付けるなら、責めの力加減が終始一定で、緩急がもう少し欲しかった。とはいえ二回目以降で調整できる範囲だと言えるだろう。
同好の士へ。脚だけを目当てに池袋まで出る価値はある。