吉原まで足を運ぶ前に立てた仮説
つくばから電車を乗り継いで上野まで一時間ちょっと。八月の平日、木曜の仕事帰りだった。改札を出た瞬間に生ぬるい空気がまとわりついてきて、上着を持ってきた自分の判断ミスを即座に認めた。
吉原に降りるのは久しぶりだった。
前から一つ気になっていたことがある。エステと風呂を掛け合わせたコンセプトを掲げている店で、本当に施術を仕事にしている人が働いているのか、という点だった。だいたいは看板だけで、実際は形だけの十分で終わる。今までのサンプルから得た印象はそれに近い。
仮説としては、六華という人はその例外にあたるのではないか。認定エステティシャンの資格を持っていて現役、という肩書きが本物なら、施術の質にも再現性があるはずだった。
今回はそれを確かめに行った、という位置づけになる。二回目の訪問なので、一回目が「たまたま」だったかどうかもここで潰せる。
フォーシーズンという店の造りを観察する
場所は台東区の千束。上野から土手通りを歩いてもいいし、日比谷線の三ノ輪から徒歩でも着く。大門の交差点を過ぎたあたりで通りが一段静かになるので、初めてでも建物を探して迷うことはないと思う。夕方十七時台の吉原は、想像していたより人が少なかった。
受付は階段を上がってすぐ。スタッフの応対は事務的すぎず、かといって馴れ馴れしくもない。名前を告げてから待合に通されるまで一分もかからなかった。
待合はソファ席が並んでいて、他の客と視線が合わない配置になっている。ただこの日は混んでいて、案内まで十五分ほど座って待つことになった。しかもエアコンが効きすぎていて、汗が引いたあとは普通に寒い。ここだけは毎回どうにかならないかと思っている。
システム自体はシンプルだった。指名の有無とコース時間で決まる形で、料金は総額表示になっている。いちばん短いコースが三万三千円から、上のコースまで含めても四万四千円の範囲に収まっていた。総額でこの数字なら、時間あたりの単価は吉原のソープの中では標準的だと考えられるし、あとから何かを足される感じもない。案内はスタッフが部屋の前まで一緒に来る形式で、ここまでの導線で引っかかる要素はゼロだった。待たされた十五分を除けば、という条件付きではあるが。
六華という被験者の観測記録
出迎えの時点で仮説が半分崩れた
扉が開いた瞬間、想定していた衣装とまったく違うものが出てきた。前回の雑談でこちらが好きだと言った系統の服を、わざわざ用意して待っていたらしい。
「これ、覚えてたんですけど、合ってます?」
完全に読まれていた。
合っている。むしろ合いすぎていて、こちらが数秒黙った。前回の会話から一ヶ月以上経っているし、好みを申告した記憶すら自分の中では薄れていたのに、向こうは持っていた。この時点で手札を全部読まれている状態になる。
T154にGカップ。写真から受ける印象は大人っぽい寄りだが、話し始めると声のトーンが一段明るくて、別人が入っているのかと思った。
六項目を採点しておく
ルックス ★★★★★
スタイル ★★★★★
おっぱい ★★★★★
アソコ ★★★★☆
感度 ★★★★☆
性格 ★★★★★
体感的には、この中で性格の満点がいちばん効いている。会話が途切れても気まずくならない雰囲気を作る、と本人が言っているらしいが、あれは誇張ではなかった。無言の三十秒が普通に居心地よかったのは初めてかもしれない。
施術が本職だという話は誇張ではなかった
ここが今回の主目的だった。うつ伏せになってから終わるまで、明確に「習った人の手」だった。指の入れ方も体重の乗せ方も力任せではなく、デスクワークで固まった肩甲骨の内側を一発で探し当ててくる。
ぬるっとしたオイル越しに、押される場所が一箇所ずつずれていくのが分かる。気持ちよすぎて途中で意識が飛びかけた。これは正直、時間の使い方としては損をしている。
前回もほぼ同じ手順だったので、この部分には再現性があると言っていい。日によって技術がぶれる人ではなかった。
さわりだけ書いておく
唇がぷるぷるで、密着したときの体温の伝わり方が普通じゃない。ここまでは無料で書ける範囲だと思う。
その先の流れと、どこまでがこの人の標準なのかは限定エリアに置いた。名前も店も上に書いてしまっているので、伏せるのは中身と、指名するときの立ち回りのほうになる。
検証してわかったこと
仮説は当たっていた、というより想定より上に外れた。施術だけを目当てに行っても元は取れるし、そこに気の回し方が乗ってくるので、満足度が下がる要素が見当たらない。サンプル数が少ないけど、二回とも同じ質だったのは事実だった。
弱点があるとすれば、出勤が極端に少ないこと。ふらっと行って当たる人ではないので、そこは運用でカバーするしかない。
帰りは上野の駅ナカで立ち食いそばを食べた。整った体で食う天ぷらそばは、いつもの三割増しでうまかった。