別府から中洲まで、二時間半
七月の終わり、金曜の昼過ぎに高速バスへ乗った。別府は朝から蒸していて、ターミナルまで歩くだけでシャツが背中に貼りつく。暑い日に遠出をするのは正直しんどい。それでも中洲まで足を伸ばしたのは、大分でいつも使っている店のスタッフに「福岡にとんでもなく綺麗なのがいる」と言われたのが頭から離れなかったからだった。
普段は温泉入ってから遊ぶのが自分の型で、湯上がりの体のまま部屋へ上がるのがいい。中洲にその流れは無い。代わりに天神で降りて、川沿いのサウナに二時間だけ入った。水風呂が想像より深くて、これはこれでありだと思った。
そういえばバスの中ではずっと出勤表を眺めていた。
我ながら暇な男だ。
着いたのは夕方6時前。中洲は日が落ちきる前がいちばん静かで、客引きもまだ本気を出していない。国体道路から一本入り、明治通り側の路地をだらだら歩く。地下鉄の中洲川端駅から数分、川に近いブロックの一階に目当ての看板が出ていた。
一階の扉と、出されたお茶
G-CROSSはビルの一階にあって、階段もエレベーターも使わずに扉を押せる。この街のソープは上階に入っていることが多いから、道から二歩で中に入れるのは思ったより気が楽だった。
受付のスタッフは早口ではなく、初めてだと伝えたら流れをひと通り説明してくれた。待合は広くない。ソファが数脚と雑誌があるだけで、正直ちょっと狭い。冷房は効きすぎるくらい効いていて、汗が引いたあとは腕のほうが冷えてくる。
待合で聞いた指名の仕組み
システムはソープの標準形そのものだった。写真を見て選ぶ指名と、店に任せるフリーの二択。指名なら出勤表の中から名前を伝えるだけで、ページに載っている写真とスペックがそのまま判断材料になるので、行く前に決めておいたほうが待ち時間は短くて済む。コースは時間で区切られていて、延長は当日に部屋でも相談できるらしい。金額の話は限定エリアに回す。
待っている間、隣に座っていた常連らしき人が延長の相談をスタッフにしていて、そのやり取りを盗み聞きしながら自分の残り時間を計算していた。初めての店はこの数分がいちばん落ち着かない。
五分ほどで名前を呼ばれた。
あいりという子
案内されて角を曲がったところに、ロングヘアの女性が笑顔で立っていた。写真は加工が効いているものだと思って行ったのに、実物のほうが顔の作りがはっきりしている。玄関で固まっていた緊張が、その笑顔だけで勝手にほどけていった。
部屋に入ってすぐ「外、暑かったでしょう。冷たいの飲みますか」と声をかけられた。汗だくで来た人間にいちばん刺さる一言で、まじで助かった。もらったお茶を飲んでいる間、こちらが喋るより向こうが拾ってくれる時間のほうが長い。言葉遣いはまったく崩れないのに、話の落とし方にユーモアがあって、途中で二回、声を出して笑ってしまった。29歳という数字ぶんの落ち着きが会話に出る。
途中で料理の話になった。休みの日はハンバーグをよく作ると言っていて、こねる時間の話を妙に真剣にしてくる。風俗の部屋でタネの寝かせ方を聞くとは思っていなかった。こういう脱線に付き合ってくれる相手だと、時間の進み方が変わる。
肌は色白で、腕にも脚にも日焼けの線が無い。触るともちもちしていて、細身なのに骨っぽさが出ないのが不思議だった。160cmの体型で、支えたときの軽さは想像どおり。清潔感という言葉は使い古されているけれど、この子の場合は髪の匂いと手の冷たさのほうが先に来る。
六項目で付けるなら
ルックス:★★★★★
スタイル:★★★★☆
おっぱい:★★★☆☆
アソコ:★★★☆☆
感度:★★★☆☆
性格:★★★★★
胸はCで、そこで勝負する子ではない。ボリュームを求めて行く相手ではないと思う。逆に言えば、顔と会話と肌で押し切ってくるタイプで、脱いだあとに評価が落ちない。写真の顔が一番良く見えて実物でがっかりする、という中洲でよくあるパターンとは逆方向に振れていた。
湯上がりの延長みたいな時間
マットへ移るまでの流れが自然で、どこかで区切りが入る感じがしなかった。湯を使いながらの会話がそのまま続いて、気づいたら始まっている。別府の店で寝転がっているときの、あの弛緩した感じに近い。泉質が良い日の温泉と同じで、体の力が抜けたまま最後まで行けた。
温泉のあとにこの流れを組めたら完璧だったな、とは思う。中洲には湯が無いので、そこは別府の勝ちにしておく。
100分は短い。時計を見たのは一度きりで、そのときにはもう残り20分だった。
どこまでどうだったか、部屋での細かいところと、指名するときのコツは限定エリアに書いた。帰りに川端のラーメン屋へ寄って、汁を飲み干しながら、次はいつ来ようかと考えていた。