午前2時40分、千葉の街に残っていたのは自分だけだった
木曜の夜勤が明けたのが午前2時前。工場の駐車場で15分ほど座ったまま動けなかった。帰って寝るだけの日が三週間くらい続いていて、その日はどうにも我慢がきかなかった。夜勤明けの体に、飯でも酒でもないものが要る日がある。
そのままタクシーを拾って、千葉市中央区へ向かった。
眠気はとっくに通り越していた。
この時間帯に開いてる店は限られる。千葉県内で条件を絞っていって最後に残ったのが、生パネル伝説というデリヘルだった。店名がふざけているので少し身構えていた。結果から言えば、それは自分の偏見でしかない。
案内までの段取りは拍子抜けするほど短かった
デリヘルなので、店舗に待合みたいなものはない。自分でホテルを押さえて部屋で待つ、それだけ。千葉駅の東口から歩ける範囲にホテルが固まっていて、深夜でも部屋に困ることはなかった。街は静かで、開いているコンビニの明かりだけが妙に浮いて見えた。
部屋に入ってから案内が来るまで、たしか20分ほど。深夜だからこそ、もっと待たされる覚悟をしていた。拍子抜けした、というのが正直な感想だ。
システムは単純で、写真を見て女の子を選ぶ形。指名料はコース代に別で乗る。時間の延長もその場で通してもらえたので、融通は利くほうだと思う。ここまでが店の話で、あとは全部、あの部屋で起きた話になる。
ドアの向こうに立っていた22歳
チャイムが鳴って、ドアを開けたら、写真よりずっと細い子が立っていた。165cmあるのに細く見えるのは、肩から腕にかけての線のせいだと思う。そのくせ胸だけが明らかに規格外で、Gカップという表記は盛っていなかった。
「うわ、ほんとに来てくれる人いるんだ」と、こっちを見て笑われた。客はこっちのはずなのに、なぜか迎えられた側になっていた。
22歳という数字の割に、話し方に妙な落ち着きがある。前はお風呂屋にいたと本人が言っていて、その頃からの常連が今も名前を指定して来るらしい。遠方からわざわざ時間をかけて会いに来る人もいるのだと、少し困ったような顔で話していた。それは納得した。この空気の作り方は、一晩や二晩で身につくものではない。
荷物を置く場所を先に確認して、上着をハンガーにかけて、こちらの飲み物を冷蔵庫から出す。そういう段取りが全部先に済んでいた。
ひとつだけ引っかかったのは髪だった。まだ湿っていた。深夜帯は回転が速いのだろう。清潔感にうるさい人なら、この一点で地雷判定を出すかもしれない。自分はまったく気にならなかったが、これは女の子ではなく店の回し方の問題だと思っている。
感覚で付けた評価を並べておく。
ルックス ★★★★☆
スタイル ★★★★★
おっぱい ★★★★★
アソコ ★★★☆☆
感度 ★★★★☆
性格 ★★★★☆
浴室に湯を張る音だけが響いていた
先にシャワーを、という流れになって、ユニットバスに二人で入った。ビジネスホテルの風呂は本当に狭い。膝がぶつかるたびに彼女が笑っていた。
湯を張る音が響く中で、背中から順番に洗われた。泡でぬるぬるになった手が、時間をかけて肩から前へ回ってくる。ここで一度、意識が飛びかけた。夜勤明けの体に、この順番はずるいと思う。
洗い終わってから部屋に戻るまでの数分で、彼女の目つきが変わった。さっきまで膝がぶつかって笑っていた子とは別人みたいだった。バスタオルを一枚だけ体に巻いて、髪を後ろでまとめながらベッドの端に座る。その動作を見ていた時間のほうを、あとになってよく思い出す。
そこから先は、こちらが事前に頼んでいたことを順番に消化していく時間になった。何を頼んで、彼女がどうなったのか。その部分は限定エリアに置いておく。無料で書ける範囲を、たぶん少し超えている。
始発が動き出す前に部屋を出た
終わったあとも30分くらい、二人でだらだら喋っていた。そういえば帰りにラーメンを食べようと決めていたのに、目当ての店は閉まっていて、結局コンビニのおにぎりで済ませた。
外に出たら雨が降り出していて、タクシーを拾うまでに肩が濡れた。
それでも、悪くない朝だった。
評価が真っ二つに割れる子だとは思う。髪が湿っていた一点で切る人はいるだろうし、逆に一度ハマったら通い続ける人がいるのも、部屋を出たあとなら分かる。自分は完全に後者寄りだった。三週間ぶんの疲れが、あの3時間でまとめて抜けた感覚がある。朝日が昇る前に部屋を出て、始発の音を遠くに聞きながら、まだ濡れたままの肩でタクシーに乗った。眠気がやっと戻ってきたのは、家に着いてからだった。この日の記憶は、しばらく残ると思う。
名前も店も、上に書いたとおり隠していない。ただ、部屋の中で何がどこまで通ったかは、限定エリアのほうに置いてある。同じ時間帯に働いている人だけ読んでくれればいい。