大宮駅から東へ、独りの夜に車を出した
八月の終わりの火曜。仕事を早めに切り上げて、エアコンを最強にしたまま見沼区のほうへ車を走らせていた。日が落ちても路面から熱が上がってくる暑い日で、信号待ちのたびにハンドルがぬるく湿る。大宮の駅前は東口も西口も相変わらず人が絶えないが、そこから少し外れて畑と新しい戸建てが交互に並ぶあたりまで来ると、夜の色が急に静かになる。さいたま市というのはそういう街だった。
埼玉の風俗は大宮を中心にソープとデリヘルが分厚く積み上がっていて、西川口まで足を伸ばせば選択肢はさらに増える。ただあっちは値段の勝負に寄りすぎていて、四十を過ぎた身には少しうるさい。駅前まで出ていく体力を使うくらいなら、住宅街まで来てくれる派遣型のほうが性に合う。そう思うようになったのは、ここ二年くらいのことかもしれない。
独りの夜は長い。離婚して三年、金曜より火曜のほうが空いているという理由だけで、平日に予定を入れる癖がついてしまった。
ティアナという店の輪郭
今回世話になったのは大宮 デリヘル ティアナ。ホテルへの派遣が基本の店だが、条件が合えば自宅まで来てくれるキャストが何人か在籍している。事務所に顔を出す必要が一切なく、担当の女の子以外の人間と対面しないまま終われるので、近所に知り合いが多い人間にはこの造りがありがたい。
流れそのものは素直だった。時間と相手を決めて枠を押さえると、当日の一時間前に確認の連絡が入る。自宅の場合はマンション名と部屋番号を伝えて待つだけで、19時ちょうどにインターホンが鳴った。写真を見て選ぶのも、決まった相手を続けて指名するのも普通に通る。
この日の支払いは百三十分に本指名料と交通費を足して三万六千円。自宅まで来てもらってこの額なら、ホテル代と往復のガソリンを足し引きして納得できた。初回なら新規向けの割引も効く。……ただ、電話で聞いた金額と最後に渡した額が二千円ずれていて、少し焦った。確認したらこちらの聞き間違いではなく店側の言い間違いで、悪気はなさそうだったから笑って済ませたが、金の話くらいは一度で決めてほしい。
さいたま市で他の箱と比べたときの位置
同じ価格帯を何軒か回ってきた感覚で言うと、ここは粒を揃えて誰を引いても平均点、という作りの店ではない。在籍を端から試して当たりを探す遊び方には向いていないだろう。逆に、この子と決めた相手がいるなら、電話の対応も含めて余計な引っかかりがない。埼玉のデリヘルは箱の数が多いぶん、こういう差のほうが効いてくる。
まいという二十一歳が玄関に立っていた
インターホンの画面に映った時点で、載っていた写真とほぼ同じ顔だった。この歳になると宣材との差分を先に探す癖がついているのに、探すものがなかった。
綺麗系というより可愛い側。二十一歳、156センチ。腰は細いのに胸だけしっかりあるバランスで、玄関の照明の下で見た肌がやたらもちもちしていたのを覚えている。髪は明るめのブラウン。前に見た写真より少し伸びたのかもしれない。
第一印象はとにかく大人しい。「はじめまして……お邪魔します」と言ったのだが最初は声が小さくて半分聞き取れず、二回聞き返してしまった。靴を揃えて上がってくるあたりも含めて、こちらが引っ張らないと会話が途切れるタイプかと思った。ところが実際は違って、こっちの出方を見てから速度を合わせてくる。四十過ぎのおじさんが相手でもテンションを無理に上げないし、逆に沈むこともない。この距離感がうまい子は、年齢のわりに場数を踏んでいる。
元嫁には内緒だけど、こういう合わせてくる若さに自分はいちばん弱い。
評価は以下のとおり。
ルックス ★★★★☆
スタイル ★★★★☆
おっぱい ★★★★★
アソコ ★★★☆☆
感度 ★★★★★
性格 ★★★★★
感度だけは五つで足りない。理由は後半に書く。
牛柄のマイクロビキニで空気が変わるまで
そういえば来る途中のコンビニで缶ビールを買っておいたので、まずは家飲みから始まった。ホテルだと時間に追われて雑になる部分が、自分の部屋だと全部ゆるむ。テレビをつけっぱなしにして、前は学生だったという話とか、趣味は寝ることだという話とか、たいして中身のない会話が続いた。「お部屋、思ってたより片付いてますね」と言われたので、三日前に慌てて掃除機をかけた甲斐はあったらしい。
途中でバッグから出してきたのが、店の衣装だという牛柄のマイクロビキニだった。正直この手のものは着る側を選ぶ。似合わない子が着ると学園祭になる。ところがこの子の場合、白い肌と胸のボリュームに柄のほうが負けていなくて、笑いながら着替えて出てきた瞬間に部屋の空気が一段下がった。まじで、と口から出た。
そこから先は、こちらが軽く触れただけで反応が返ってくる。指先が胸のあたりをかすめたところでぷるぷる震えるみたいに肩が動いて、明らかに声のトーンが落ちた。この子の弱いところはここか、と分かるまで一分もかからない。
大人しかった子のスイッチが入る瞬間というのは、何度見ても飽きない。
出勤が少ない子を待つということ
困るところがあるとすれば、この子は出勤日そのものが少ない。埼玉で働く子としては珍しく枠が数時間で消えるので、こっちの都合に合わせて会える相手ではなかった。のんびり構えていたら次の空きが二週間先、ということが実際にあった。さいたま市で遊ぶなら、店を探す時間より予定を合わせる時間のほうが要る。駐車場に車を入れながら、毎回そんなことを考えている。
もうひとつ、喋りすぎには注意したほうがいい。居心地が良すぎて、気づくと残り時間が半分になっている。これはこの子のせいではなく完全にこちらの問題だが、百三十分でも足りないと感じた。
見送ったあとの部屋が、いつもより静かに感じた。缶がテーブルに二本残っていて、片方だけ口紅がついている。それを捨てるまでに、なぜか十分くらいかかってしまった。
玄関の手前で何が起きたのか、どこを攻めたときにあの声が出たのか、そして最後にどういう流れになったのかは、投稿者限定エリアに書いた。指名するときのコツと、狙うべき時間帯もそちらにまとめてある。