西川口の裏通り、ネオンから一本外れたところ
離婚してから、遠出をしなくなった。前は月に一度くらい吉原まで足を延ばしていたのに、いまは京浜東北線で西川口まで出て、それで済ませてしまう。四十を過ぎると、移動そのものが億劫になるのかもしれない。
西川口という街は、表通りを歩いているぶんには中華料理屋の看板しか目に入らない。ガチ中華の街として紹介されることが増えて、休日の昼間は家族連れまで歩いている。この街の風俗が固まっているのは、そこから一本外れた裏道のほうだ。初めて来た人間はたいてい素通りする。
値付けは吉原の中堅どころより一段安い。そのぶん割り切って回転させる店もあるし、逆に設備のほうに金をかけている店もある。当たり外れの幅が広いのが西川口だった。
独りの夜は長い。
アニバーサリーという店の組み立て方
この店は後者だった。裏通りに面していて外から中が見えないので、初めてでも入りやすいと思う。受付のスタッフは事務的すぎず、かといって馴れ馴れしくもない距離を保ってくる。この加減ができる店は、西川口だとそう多くない。
コースは短い枠から用意されているけれど、この店に関しては短い枠で入る意味があまりない。八十分より下だと、浴室で使った時間のぶんそのままベッドが削れる。一度六十分で入ったことがあって、あれは完全に自分の選択ミスだった。
それと、指名した子が当日欠勤になったときに、代わりを提案したうえで料金を引いてきたことがある。当欠を伏せたままキャンセル扱いにする店より、こういう出し方をする店のほうが結局は長く通える。
吉原と並べて考えると
部屋が広い。この価格帯の吉原で、鏡がまともに使えて浴室もゆったりしている部屋には、正直あまり当たったことがない。設備で言えば一段上だと思う。
逆に、店の格そのものを売りにしてくるタイプではないので、重厚さや儀式めいた雰囲気を求める人には物足りないかもしれない。そこを味わいたいなら素直に吉原へ行けばいい話だった。
りぼんという二十六歳の、身のこなし
この店に通うようになったのは、りぼんに当たってからだ。もとは系列の別店にいて、そこで本指名を集めていた子が移ってきた、という経緯らしい。移籍組は前の店の癖が残っていて肌に合わないことも多いのだが、この子に関してはそういう引っかかりが最初からなかった。
百六十四センチで、脱がなくても手足が長いのが分かる。色が白くて、肌が乾いていない。ロングヘアはあまり巻かずにまっすぐ落としている。胸はEで、細い体に付いているぶん数字より大きく見えるタイプだった。ウエストが五十六しかないので、腰から尻にかけての線が極端に出る。
ルックス ★★★★☆
スタイル ★★★★★
おっぱい ★★★★☆
アソコ ★★★☆☆
感度 ★★★★☆
性格 ★★★★★
アソコに三つしか付けていないのは、そこが売りの子ではないからだ。この子の価値は締まり具合の話ではなくて、こちらの反応を拾って手数を変えてくるところにある。逆にスタイルは満点でいい。四十代の目で見ても、あの腰の線は西川口だとなかなか出てこない。
喋るとよく笑う。おしゃべりな部類だと思う。ただ、うるさいのではなくて、こちらが黙れば向こうも黙る。
四か月ぶりに扉が開いたとき
前に入ったのが四月で、次に取れたのが八月だった。これだけ間が空けば当然忘れられていると思っていたし、忘れられている前提で名乗るつもりでいた。ところが顔を見た瞬間に「お久しぶりです」と言われて、そのあとに前回こちらが弱かった場所まで口に出されたので、逆にこっちが焦った。まじで覚えていたらしい。
浴室でひと汗流して、歯を磨きながら世間話をする時間がある。この店の浴室は広いので、その時間が手持ち無沙汰にならない。
洗い場でのやり方が、この子のいちばん良いところだと思う。背中を這わせてくるところがねっとりしていて、そこで一度こちらの集中が切れた。本人の性感帯も背中だそうで、洗いながらこちらが背中に手を回すと声のトーンが変わるのが分かる。
「まだ早いですよ」
そう言われて笑われたところまでが、無料で書ける範囲だった。
そこから先どういう流れになったのかは、限定エリアのほうにまとめてある。
帰りの京浜東北で考えていたこと
ひとつだけ実用的な話を書いておくと、この子は予約が取りづらい。出勤の枠そのものが短くて、昼から夕方までしか入らない日が多いのに、その短い枠が先に埋まってしまう。土曜で四時間半しか出ていない日もあった。
だから当日に思い立って電話しても間に合わないことが多い。前の週の頭には押さえておいたほうがいい。逆に平日の昼なら、直前でも空いていることがまれにある。夜に強い子ではないので、夜型の人間とは競合しないのかもしれない。
帰りに駅前のコンビニでコーヒーを買って、ホームのベンチで冷ましながら電車を二本見送った。元嫁には内緒だけど、この時間がいちばん頭が静かになる。