下関から山口市まで二時間の道のり
下関から山口市までは、高速に乗れば一時間ちょっとで着く。ただその日は金曜で、仕事帰りに思い立って出てきたクチだった。給料日前だったこともあって、素直に下道を選んだ。二時間、ハンドルを握りっぱなしになる。小郡のあたりで日が落ちて、フロントガラスに雨がぱらついてきた。八月の終わりの雨は生ぬるいだけで、ちっとも涼しくならん。エアコンを強くしても車内が暑い。
下関は、こういう夜でも港から風が抜ける。
山口市は盆地で空気が動かん。信号待ちのたびにシャツが背中に貼りついて、着く頃には一度着替えたくなっていた。
それでも山口まで足を伸ばしたのは、人妻系の店に四十の新人が入ったからだった。関門海峡越えたら福岡で、選択肢の数だけなら向こうが圧勝じゃのう。ただ福岡は人気の子ほど枠が埋まっていて、当日に思い立って行ってどうにかなる街ではない。予約の画面を眺めているうちに気持ちが冷めることも多い。山口市くらいの規模だと、その日の夜でもまだ席が残っている。歳を取ってから、そこが有り難くなった。若い頃は遠くまで行くこと自体が楽しかったが、今は着いてからの時間のほうが大事になった。
受付までの段取り
電話は駅前のコンビニの駐車場からかけた。二十時前だったが、平日の夜なら比較的取りやすいと言われた。指名もすんなり通った。
待ち時間は十五分。
ホテルに入ってから部屋番号を伝える形で、そこから十五分ほどで着く。事務所の対応は淡々としていて、変に持ち上げてこないのが良かった。「今日は道が空いてると思いますよ」くらいしか言われない。下関の店だと世間話が長くなることがあって、こっちが黙ると向こうが埋めにくる。ここは用件だけで切れる。寡黙な人間には、こういう店のほうが性に合う。
そういえば駐車場はホテルの立体に停めた。夜間の打ち切り料金があって助かった。
中島りえという四十歳の人妻
ドアを開けて最初に思ったのは、背が低いということだった。152cmと出ていたが、ヒールを脱ぐともっと小さく見える。白いレースのトップスに、黄色のタイトスカート。写真のままの格好で来た。この歳になると写真と実物の差で気持ちが冷めることがあるが、その心配はいらんかった。顔立ちに派手さはない。ただ笑うと頬がきゅっと上がって、目尻に皺が寄る。この皺が良かった。四十まで来て作り笑いを覚えなかった人は、そう多くない。
「はじめまして。まだ慣れてないので、いろいろ教えてください」と先に言われた。この仕事に入って間もないらしい。緊張しているのは手の置き場所で分かる。膝の上で指を組んだり解いたりしていた。四十でこの初々しさが残っているのは、正直ずるいと思った。
ルックス ★★★★☆
スタイル ★★★☆☆
おっぱい ★★★☆☆
アソコ ★★★☆☆
感度 ★★★☆☆
性格 ★★★★★
胸はDで、四十相応に柔らかい。手にちょうど収まる大きさで、もちもちした触り心地だった。腰から下は細く、事前に見た数字どおり。盛ってはいなかった。
性格に五つ付けたのは、こっちが黙っていても間が持つからだった。
ソファで話し込んで、そこから
先にシャワーを浴びるか聞かれて、後でいいと答えた。ソファに並んで座り、備え付けの缶コーヒーを開けたところから始まった。山口の話、下関の話、車の話。趣味がドライブというのは本当らしく、角島まで走った話で三十分は溶けた。橋の上で風が強かった、と話す時の顔がいちばん良かった気がする。こっちも自分の車の話を返していたので、人のことは言えん。
気づいたら開始から一時間近く経っていて、さすがに焦った。
そこから風呂に入って、上がってベッドに移る。手つきはまだぎこちない。慣れた人の流れ作業と比べれば、明らかに段取りが悪い。ただ、それを悪いとは思わんかった。
まじで時間が足りんかった。
ここから先は限定エリアに書く。名前も店も上に出しているから、あとは中身だけじゃのう。
山口で遊ぶ人間としての正直なところ
技術を求めて指名する相手ではない。その一点だけなら、正直まだ物足りなさが残る。
そのかわり、一緒にいる時間が痛くない。四十まで来て、この仕事に慣れていなくて、笑い方が素のまま。そういう人を山口市で探すのは、たぶん骨が折れる。慣れた人のほうが確実に上手いし、値段も似たようなものだ。それでも次に空いた金曜があれば、また同じ道を走ると思う。下関から二時間かけて帰る道中に、悪くない夜だったと思えるかどうか。自分が店を選ぶ基準はもうそこしか残っていない。その基準でいえば、この夜は十分だった。