下関から車で二時間
下関は店の数だけなら足りとる。ただ、同じ顔ぶれを何周もすると飽きてくる。関門海峡越えたら福岡、というのが下関に住んどる人間のいつもの逃げ道じゃが、その日は逆方向に走った。金曜、仕事を早めに切り上げて山陽道に乗った。
岩国までの道のり
下関から岩国は遠い。高速を使っても二時間近くかかる。おまけに雨が降っとって前が見えづらく、玖珂のあたりで渋滞にはまった。岩国に着いたのは19時すぎじゃった。
ラブホの駐車場はそこそこ空いとった。部屋は狭いし壁も薄い。岩国のラブホはだいたいそんなもんじゃ。
電話の受け答え
電話に出たのは男性スタッフ。早口でもなく、無理に押してくることもない。「初めてなら業界最安値コースというのがありますが」と向こうから振ってきた。90分で14,800円。安いほうを自分から勧めてくる店は、そんなに悪いことにならん。
待ち合わせコースというのもあるらしい。ホテルのロビーや駅前で合流して、そこから部屋に上がる形。岩国なら知り合いに出くわす確率も低いけえ、地元の人間には要るじゃろう。今回は使わんかった。
その日は通常の90分にした。16,000円。部屋番号を伝えて待つ。
19時40分、ノックの音。
嬢の印象
入ってきたのは、思っとったよりずっと落ち着いた人じゃった。40代前半。黒のロングヘアに白いカーディガン、足首まであるロングスカート。デリヘルの女の子というより、近所の綺麗な奥さんが部屋を間違えて入ってきたような格好をしとる。
背は160くらい、胸はFカップ。数字だけ聞くと胸が主役に見えるが、実際に会うと目がいくのは首から肩のライン。姿勢がいい。あとで聞いたら子どもの頃からバレエをやっとったらしい。
手が綺麗じゃった。爪も短く整えとる。この仕事で手の手入れをしとる人は、だいたい他のところも雑にせん。
喋り方は柔らかい。こっちが黙っても気まずくならん。無理に場を盛り上げようとせん人は、だいたい当たりじゃ。
一言でいうと、上品。ただし目の奥だけ笑っとらん時があって、そこが妙に引っかかった。
九十分の中身
先にシャワー。混浴で、背中を流されながら「下関から来られたんですか、遠かったでしょう」と聞かれた。遠かった、と正直に答えたら笑われた。そのまま手が前に回ってきて、泡ごとぬるっと握られる。まだ部屋に入って十分も経っとらん。
ベッドに戻ってキス。舌の入れ方に遠慮がない。こっちが受け身に回るくらいじゃった。首筋から胸、腹と降りてきて、乳首を長いこと舐められた。男の乳首をここまで丁寧にやる人は初めてで、正直たまらん。ねっとり、という言葉がぴったりくる。
フェラは生。プロフィールに「フェラが得意」と書いてあったのは嘘ではなかった。喉の奥まで入れて、そこで止めて上目遣いをしてくる。ただ一度、歯が当たった。深く咥えようとした時じゃったから責める気もないが、そこだけ現実に戻された。
69になってこっちも返す。声が想像より高い。「そこ、だめです」と言いながら腰は逃げん。この店はローターもデンマも即クンニも無料で付けられるらしいが、道具のいらん人じゃった。
ローションは自分の手のひらで温めてから使う。冷たいのが苦手なんです、と言いながら転がしとった。細かいことじゃが、こういうのは効く。
素股に移って、そこからが早かった。太ももで挟まれて何往復かしたところで角度が変わって、そのまま生で入った。止められることも、確認されることもなかった。
90分を取る客は最初からそういうつもりなんじゃろう、と、この時わかった。
入ってからは静かじゃった。声を殺すタイプで、その分だけ指が背中に食い込んでくる。正常位から横向きになって、最後は上に乗ってもらった。上でも自分から動く。腰の使い方がうまいというより、こっちの顔を見て速さを変えとる。バレエの話を思い出した。体幹が効いとるんじゃろう。
中には出しとらん。抜いて口で受けてもらった。
終わってから汗を拭かれながら世間話をした。家族の話と、温泉に行きたいという話。そういえば、この手の話をされて嫌な気分にならんかったのは久しぶりじゃ。シャワーを浴び直す時間もちゃんと残っとった。時計を見とらんのに、なぜか配分がうまい。
残り時間で延長を勧められたが、30分7,000円と聞いて断った。そこは惜しかった。時間の使い方をもう少し考えれば入っとったと思う。
また行くか
行く。迷いはない。
下関から二時間かけて岩国まで走る価値があるかと聞かれたら、この人一人のためなら、ある。岩国は店の選択肢が少ないエリアじゃが、ここが潰れたら岩国は終わりじゃのう、というくらいの位置におる店じゃ。
帰りにコンビニで缶コーヒーを買って、また二時間走った。雨は上がっとった。
この人の名前は下に書いた。写真も一枚出しとる。