岐阜から出ずに済んだ夜
ここ数年、遊ぶとなると岐阜から出て名古屋まで行くのが癖になっていた。名古屋は近いし、店の数も嬢の数も向こうのほうが多い。地元で完結させるという発想が、いつの間にか頭から抜けていたんやね。
それが変わったのが8月の終わりの木曜だった。仕事が思ったより早く片付いて、まだ19時。ただ電車に乗って三十分揺られる気力までは残っていなかった。それで、前から名前だけ知っていた岐阜市のデリヘル、VIPドールに当日で入れてもらうことにした。
この辺は柳ケ瀬から少し外れると急に静かになる。週末前の夜でもすれ違うのは数人で、閉まったシャッターとコンビニの灯りだけがやたら明るかったな。名古屋の栄あたりのざわつきに慣れていると、この静けさが逆に効く。
駅から歩いた道のり
JR岐阜駅の北口を出て、繁華街のほうへ十五分ほど。バスを使えば五分で済む距離だが、日が落ちて風が少し涼しくなっていたので歩いた。八月の岐阜は昼間がどうしようもなく暑いが、夜になると案外過ごせる。
途中、中華そば屋の前で足が止まった。腹が減ったまま行くと集中できないタチなので、先に一杯だけ食べてから向かうことにした。この判断は正解だったと後で思うことになる。
ホテル街と呼べるほど密集していないのが岐阜で、そのぶん目的の建物を探すのに少し手間取る。地図アプリを二回見直した。名古屋なら看板の並びで分かるのに、この辺はそうもいかない。
通された部屋のこと
デリヘルなので、部屋を取って先に待つ形になる。造りはよくあるタイプで、ベッド脇のスタンドライトだけが妙に赤い。落ち着くまでに少しかかった。
空調の音が大きいのはマイナスやね。会話が被るほどではないが、静かにしていると気になる。
受付のやり取りは短かった。好みのタイプだけ伝えたら、「じゃあこの子が合いますよ」と即座に一人の名前を挙げてくれた。指名の形式は写真からでも本指名でも選べるが、この日は完全におすすめ任せ。自分で一覧を延々スクロールして選ぶのが苦手なので、これはありがたい。慣れていない人ほど、こういう聞き方をしてもらえると助かると思う。コースは六十分で、室料は別に乗る形だった。時間の刻みも説明してもらったが、そのときは「まあ六十分でいいか」と流してしまっていて、後でそれを少し後悔することになる。
待っている間にスマホで店のシステムを眺めていたら、思ったより延長の刻みが細かい。これは後で効いてくる話になる。
まりあ、21歳という子
インターホンが鳴った瞬間の話を先にしておきたい。
ドアを開けたら、笑顔で挨拶された。それだけのことなのに、こちらが一瞬固まった。写真とほぼ同じ顔の子が実際に立っているというのは、この業種だとそこそこ珍しい。会った瞬間に「え、本当にこの子か」と疑ったくらいで、その疑いが晴れるまでに十秒くらいかかったと思う。
T155という数字で聞くより小柄に見える。ただ細すぎない。肩から腕にかけての線に余裕があって、脚も骨っぽくない。肌はもちもちしていて、触ると指が少し沈む。Dカップという表記は盛っていなかった。
話し方が明るい。部屋に入ってから、こちらの仕事の話や、今日はどこから来たのかを次々と質問しながら、その手でお風呂の準備を進めていく。手が止まらないのに会話も途切れない。この段取りの良さは二十一歳のそれではなかったな。こういう子は、たいてい最初の五分でこちらの喋る量を測ってくる。よく喋る客なら聞き役に回るし、黙る客なら自分から話題を出す。この日のこちらは完全に後者だったのだが、間が空いた記憶がまったくない。
あざとい、という言葉が悪い意味ではなく当てはまる子だった。上目遣いの角度を分かってやっている。分かっていてもこちらには効くので、まあ負けやね。
ルックス ★★★★★
スタイル ★★★★☆
おっぱい ★★★★☆
アソコ ★★★☆☆
感度 ★★★★☆
性格 ★★★★★
顔に満点を付けることはめったにないのだが、この日は付けた。あとで料金を見返して、この内容でこの額なら安いほうだと素直に思ったのも大きい。
玄関口の話にとどめる
浴室に入ってから、部屋に戻るまで。書けるのはここまでにしておく。
洗われている間じゅう喋っていて、こちらの反応を確かめる言葉が何度も挟まる。それが事務的でないのがうまい。返事の温度を見て言い回しを選び直しているのが分かる。慣れた子は黙って手だけ動かすことが多いし、それはそれで悪くないのだが、この子は完全に逆だった。喋りながら手も止まらないし、手を動かしながらこちらの顔もちゃんと見ている。二十一歳でこの同時進行ができるのは、素質なのか教育なのか判断がつかない。どちらにしても、浴室を出るころには最初の緊張が完全にどこかへ行っていた。
これは効く。
ベッドに移ってからは、こちらが何かする前に向こうから始まった。そこから先の流れと、どこまで進んだのか、途中で足したオプションで何が起きたのかは限定側に置いてある。
岐阜でこれは珍しい。
一つだけ言うと、六十分が本当に短かった。時計を見て「まだ半分あるな」と思った記憶がないまま終わっている。
また指名するかどうか
する。岐阜から出て名古屋まで行く理由が、この日で一つ減った。
不満がないわけではない。部屋の空調の音と、到着の連絡が予定より十分ほど遅れたこと。ただどちらも女の子の話ではないし、遅れた十分はこちらが中華そばで潰した時間と釣り合っている。文句を言える立場でもないな。
中身に注文を付けるとすれば、序盤の会話が少し長い。もう二、三分早く進めてもよかった気はする。もっともこれは、六十分を選んだこちらの設計ミスでもある。
帰りに自販機で缶コーヒーを買って、駐輪場まで歩きながら、次はもう少し長いコースにしようと考えていた。それくらいには残る子だったな。
名前も店もここに書いたとおりなので、指名するときのコツと、この日の詳しい流れは限定エリアのほうで。