普段は減点方式なんだが、今回はその手法が機能しなかった。二月の平日、昼の枠。吉原のローテンブルクで鳴沢ひろこさんを指名して、部屋を出るときには採点表を閉じていた。
接客の採点
予約の電話から当日まで、店側の対応に穴がなかった。前日確認も当日確認も過不足なし。送迎車も駅で待たせずに来る。ここは加点。
本人のほうは、部屋に入ってからの組み立てがうまい。上着をするりと抜き取ってハンガーにかけ、正面に座って三つ指をついて名乗る。ここまでは型どおりなんだが、そのあとに「どうしてわたしを選んでくださったんですか」と真顔で聞いてくる。
おいおい、と思った。こっちが正直に答えると、今度は呼び方の話にすり替えてくる。「じゃあ今日は呼び捨てにしてください」だ。これで場の温度が一気に変わる。会話でプレイの設計をしてくるタイプで、この手のことができる人は高級帯でもそう多くない。
もうひとつ書いておくと、この人は待たせない。上着を受け取る、たたむ、名乗る、距離を詰める。この四つを淀みなくやりきるまで二分もかかっていない。段取りが体に入っている人の動き方なわけで、初対面の気まずさを感じる暇がない。
接客の採点だけで言えば、この日いちばんの加点はここだった。
微妙だった点と、湯を張るまでの話
微妙な点も出しておく。まず待合の椅子が硬い。十五分座っただけで腰にきた。それから二階へ上がる階段が急で狭い。こつこつと靴音が響く造りで、酔って上がったら普通に危ない。
あと、これは完全にこちらの落ち度だが、時間配分をミスった。前日に散髪の予約を入れ直したせいで到着がぎりぎりになり、待合で仕事の電話まで鳴った。頭を切り替える助走が足りていない状態で部屋に入っている。
で、プレイの入口。膝の上に乗ってきて「キスして」と言われるところから始まる。ここで一回、歯が当たった。角度の問題で、たぶん向こうも気づいていない。減点というほどではないが、書かないと嘘になるので書いておく。
そこからは唇の吸い方が段階的に強くなっていって、背中に回った腕にぎゅっと力が入る。会話が消える。ここから先は投稿者限定に回す。
最終判定。この店は在籍の平均年齢帯が絶妙で、若すぎず熟しすぎない。そこを狙って作られているのが分かる。そのうえで鳴沢さんは、指名を取るための武器が顔でも体でもなく、間の取り方だという珍しいタイプ。辛口を書く隙が消えたのは、要するにそこだ。
ついでに店の話も足しておく。部屋は二階と三階に分かれていて、清潔さは高級帯として当たり前の水準。特筆する派手さはないが、汚れや古さで気が削がれる場面はゼロだった。個人的には、この街で内装より在籍の年齢層で店を選ぶタイプなので、そこが合う人には刺さる。
逆に、二十代前半を求めて行く店ではない。そこだけは間違えないほうがいい。