退勤は朝五時だった。
夜勤明けの体に、自販機の缶コーヒーがやけに甘い。十二時間ぶっ通しで検品していた指先はまだ段ボールの粉っぽさを覚えていて、帰って寝るだけの朝がどうにも我慢ならなかった。朝日が昇る前に会社の裏口を出て、京成の始発に揺られながら、スマホで吉原の出勤表を眺めていた。
この時間帯に開いてる店は限られる。そのなかで、ずっと気になっていた子が九時から出ている。コートダジュールのひな。写真で見るたびに保存しかけては閉じていた顔だ。前日の夜、休憩室で予約を入れておいた自分を少し褒めたい。
退勤五時の寄り道、コートダジュール
日暮里で降りて、駅前の立ち食いそばで天玉を流し込む。ラーメンにするか迷ったが、この後のことを考えて軽めにした。店の送迎車は日暮里駅まで来てくれる。待ち合わせ場所の説明は電話で丁寧にもらっていたので迷わなかった。
車内は静かだった。水曜の朝八時半、千束の方へ曲がっていく通りには、出勤途中のサラリーマンと、店の前を掃くスタッフと、たぶん自分と同じ夜勤明けの男しかいない。
正直、不安はあった。
総額六万五千円。夜勤手当の三晩ぶんが二時間で消える計算だ。これで外したら来週のシフトがきつくなる。そんなことを考えているうちに車が停まった。
朝九時、千束四丁目のソープで
待合室の空気
出迎えのスタッフが笑顔で、声が明るい。高級店の男性スタッフというと無表情で慇懃なイメージがあったから、少し拍子抜けした。トイレと待合室への案内も手際がいい。待合室のソファは柔らかすぎて、座った瞬間に眠気が一気に来た。ここで寝落ちしたら六万五千円が泣く。温かいお茶で目を覚ます。
呼ばれるまで十分ほど。窓の外で小雨が降り出していた。傘を置いてきたことに気づいたが、帰りも送迎がある。問題ない。
38kgの小悪魔と、朝から競馬の話
カーテンの向こうにいたのは、写真より小さい人だった。156cmと聞いていたが、それ以上に華奢に見える。腕も脚も細いのに、ドレスの胸元だけがしっかり主張していて、目のやり場に困った。夜勤明けのぼやけた目には眩しすぎる。
「おはよー。お仕事帰り?」
第一声がそれだった。夜勤明けだと言ったら、「えらーい、じゃあ今日はいっぱい甘やかすね」と笑う。口元のホクロが笑うたびに動く。これはやばい、と思った。
部屋に入ってからしばらく、なぜか話題は競馬。こちらが週末に中山の中継を見ながら夜勤に入ると言ったら、彼女の目が変わった。好きな騎手、去年外した万馬券、地方競馬のどこが面白いか。気づけば十五分ぐらい話していた。ニッチなところまで話が通じる相手に、この時間帯に出会えるとは思っていなかった。
会話の合間に、何度も「今日なにしたい?」と聞いてくれる。押しつけがましくない聞き方で、こっちが疲れて頭が回っていないのも見抜いている感じがした。自称「小悪魔系のS」らしいが、この段階ではただ気の利く人という印象だった。
電子タバコは、こちらがいいよと言ったときだけ吸うそうだ。吸っていいよと言ったら、「ほんと?じゃあ後でね」と言って結局最後まで吸わなかった。そういうところだと思う。
湯気の立つ洗い場の手前まで
服を脱がせてもらう手つきが、思っていたよりずっとゆっくりだった。疲れた体を気遣ってか、ボタンひとつ外すたびに目を合わせてくる。お湯を張る音だけが部屋に響く。深夜だからこそ、じゃない。朝だからこそ、この静けさが染みた。
洗い場に座らされて、泡をたっぷり使って洗ってもらう。ボディソープが肩から背中へぬるっと伸びていく感覚に、十二時間分の肩の張りがほどけていく。ここで少しだけ、彼女の「S」の片鱗が見えた。
ここから先は、限定公開のほうに書いておく。夜勤明けの体で二時間、何が起きたのか。
帰りの日暮里で思ったこと
十一時過ぎ、送迎車で日暮里に戻った。雨は上がっていた。駅のコンビニでおにぎりを二つ買って、ホームのベンチでぼんやり食べた。寝不足のはずなのに頭が妙に冴えていて、帰りの電車でも眠れなかった。
悪くない、どころじゃない。六万五千円を払った後悔は、日暮里に着く前に消えていた。
一つだけ残念だったのは、送迎車の運転手さんが最後まで無言だったこと。出迎えの明るさとの落差が少しあった。こっちも眠かったので、ありがたくもあったが。
ルックス:★★★★★
スタイル:★★★★★
おっぱい:★★★★★
アソコ:★★★★☆
感度:★★★★☆
性格:★★★★★
夜勤明けにこの子を当てられたのは運がよかった。朝の吉原で、疲れた体に染みる二時間だった。