仕事帰りに名駅から歩いて
三十分だけのつもりだった。
金曜の残業がやっと片付いたのが21時過ぎで、そのまま帰る気にはならなかった。駅の地下でラーメンを一杯すすりながら、スマホで空き枠を眺めていた。
三日前から目星はつけてあった。名古屋名駅・栄サンキューの在籍一覧を上から流し見ていて、にゃもという20歳の子のところで指が止まったからだ。T145のCカップ、髪はゆるく巻いてあって、写真の中でだけ完成している顔って感じだった。この辺は同じ系列の激安店が固まっていて、値段もラインナップも似たり寄ったりに見える。決め手になったのは特別指名料が1,000円だけ上乗せされていたことで、上乗せが付くということは、それだけ動く子なんだろうと踏んだ。
そういえば、この店の名前を最初に聞いたのは職場の後輩からだった。安いのに当たりがいるらしい、と。半信半疑のまま三ヶ月くらい放置していた理由は単純で、激安と名の付く店で何度か外していたからだ。値段なりの塩対応を引いて、四十分ずっと天井を見ていた夜のことは、いまだに思い出したくない。あのときは金額のことより、時間を捨てたのがきつかった。
枠を押さえてから部屋に入るまで
デリヘルなので店舗に足を運ぶわけじゃなく、こっちが先にホテルへ入ってから部屋の番号を伝える流れになる。名駅から歩いて七、八分のビジネスホテルを取った。この辺は駅前の人の多さが嘘みたいに、通りを一本裏へ入るだけで急に静かになる。指名は写真を見て選ぶ形で、はじめての相手だと特別指名料が乗る子と乗らない子に分かれている。にゃもは乗るほう。コースは分単位で短いものから長いものまで刻んであって、金額は限定エリアのほうにまとめて書いた。
オプションの表がやたら長いのもこの系列の特徴で、無料で付けられる項目が数十行ぶん並んでいる。全部読む気にはならなかったが、はじめてでも頼みやすいものが多い印象だった。
到着の連絡が来たのは予定より六分遅れで、ドアの前でスリッパの音が止まった瞬間、正直ちょっと焦った。狭いシングルの部屋で、ベッドと壁のあいだが人ひとりぶんしかない。こんなところに呼んでよかったのかと今さら思った。
扉が開いた瞬間の落差
「こんばんはー、にゃもです」
声だけは百点だった。
第一声は明るかった。ただ、立っていた子はパネルで見ていた輪郭とは少しずれていた。加工が仕事をしていたぶんだけ、実物のほうが幼くて、そして丸かった。ムチっとした二の腕と、太ももの内側の柔らかさが、私服の上からでもわかる。
がっかりしたかというと、そこはもう慣れの問題だった。この価格帯でパネル通りが出てくると思っているほうがどうかしている。むしろ、写真より体温が高そうな体だったのが良かった。身長は145センチしかないので、立って向き合うと胸のあたりに頭がくる。見下ろす角度で笑われると、こっちの警戒心が勝手に緩んでいく。この体格で押し付けてこられると、なんというか逃げにくい。
気になったのは匂いのほうだった。上着を脱いだとき、アイコスの残り香がふわっときた。吸わない人間なので、これは素直に減点。本人も気にしていたのか、「さっき一本だけ吸っちゃった、ごめんね」と先に言ってきた。隠さないあたりは嫌いじゃない。
正直につけた6項目
ルックス ★★★☆☆
スタイル ★★★★☆
おっぱい ★★★☆☆
アソコ ★★★★★
感度 ★★★★☆
性格 ★★★★☆
アソコを満点にした理由は限定エリアのほうで書く。ルックスを3にしたのは写真との差ぶんで、実物単体なら悪くない。
触れ合いの入り口まで
ここから先が本題になる。
シャワーは二人で入った。狭いユニットバスで、背中を流してもらっているあいだ、ずっと後ろから体を押し付けてくる。くっつくのが好きなタイプなのは、この時点でもう分かった。
ベッドに戻ってからも距離が近い。顔を寄せて、耳の後ろから首筋にかけてぺろっと舐めてきて、そのまま長いキスになった。舌の力加減がやや強めで、最初の何秒かは息をどこで継げばいいのか分からなくなった。慣れてくると、その強さがちょうどよく思えてくるから不思議だ。
短い。
そこから先、つまり服を全部脱いでからの一時間については、無料で書ける範囲を超えている。第一印象がひっくり返ったのはここからで、いちばん書きたいところでもある。にゃもの体のことと、どこまで許してくれたのかは、限定エリアのほうにまとめて置いた。値段の内訳と、この子の枠が取りやすい時間帯も、そっちに書いてある。
帰りの地下街で考えたこと
ホテルを出たのは日付の変わる少し前で、終電にはぎりぎり間に合った。名駅の地下街はもう半分シャッターが降りていて、コンビニの明かりだけが妙に白かった。ぶっちゃけ、写真だけで選んでいたら一生指名しなかった子だと思う。それでも帰り道で考えていたのは次にいつ行くかのことだったから、答えはもう出ている。
この価格でこの中身なら、名駅で迷ったときの逃げ場としてはかなり強い。ただ、ずっと体を寄せてくるサービスが苦手な人には向かない。ひとりで静かに気持ちよくなりたい日は、やばいくらい疲れると思う。