金山で飲んだ帰りに、栄まで足を伸ばした
俺の夜はだいたい金山から始まる。火曜の二十時、いつもの立ち飲みで手羽先を三本とハイボールを二杯やっとったら、隣の常連が「栄に高いとこあるやろ、美スタイル」と名前を出してきた。
名前だけは知っとった。ただ、そこで遊んだ人間の話がいくら探しても出てこん。名古屋の高級帯は店数が少ないくせに、中身の情報がやたら薄い。誰も書かんのなら自分で確かめるしかないわ、とその場でスマホを開いた。
ネットから予約を入れて、十分もせんうちに店から確認の電話がかかってきた。指名の確認、入る時間、ホテルの場所。高い店は電話口で値踏みされることがあるので少し不安だったが、それは杞憂だった。事務的すぎず、馴れ馴れしくもない。最初の三十秒の喋り方で「ここはちゃんとしとる」と分かる受付だがや。予定がずれたときも、電話一本で調整してくれた。
料金は九十分で三万二千円ほど。室料は別で、指名料と交通費は込み。名古屋の高級帯としては真ん中やと思う。出勤が夜の十九時から翌三時までなので、飲んだ後に動く人間には都合がええ。ホテルは栄のビジネス系を自分で押さえて、そこへ来てもらう形にした。地下鉄の駅からの距離を気にせず選べるのは、この形の一番の利点だがや。
八月の名古屋は、夜でも路面から熱が上がってくる。今年いちばんの暑い日で、シャツはホテルに着く前から背中に貼り付いとった。エレベーターが六階でずっと止まっとって、「マジかよ、まだ動かんのか」と独り言が出た。箱も狭い。ここだけは毎回萎える。
なるみが部屋に入ってきた
最初の三分で分かったこと
ドアを開けて最初に思ったのは「あ、写真のまんまだ」だった。この商売で素直にそう思える回数は、そんなに多くない。
この時点で、もう半分は満足しとった。
身長は百六十くらい。細いが骨っぽさはなくて、腰の内側にちゃんと窪みがある。そこから腿へ落ちる線が素直で、店が押しとる「モデル系」という売り方は、会えば納得する部類だった。
本人が気にしとるのは別のところらしく、「私、顔がキツそうって言われるんです」と先に自分から言ってきた。喋ると全然そんなことはない。声が見た目より柔らかいのと、笑うと目が細くなるので、二分もあれば緊張は抜ける。
腕に触れたら肌がもちもちしとって、押し返す弾力が若い。二十三という数字は正直だったわ。
写真の加工がきつい店だと、この時点で先の九十分の計算をやり直す羽目になる。ここはその作業が要らんかった。土台の部分で嘘をつかん店だ、というのが最初に得た情報だった。
シャワーまでの十五分
服を脱ぐ前に、水を一本もらって並んで座った。この時間の使い方が上手い。金山で飲んできたと言えばそこから店の話に広げてくるし、こっちが黙れば無理に埋めてこん。
「今日は喋る方と早い方、どっちがいいですか」
こんな聞き方をされたのは初めてだった。要するに、自分から押していくタイプではない。技で殴ってくる嬢とは真逆で、客の速度に合わせにいくのが持ち味の子だ。前の客の話も、自分の稼ぎの話も一切出てこん。こういう線の引き方ができる子は、高い帯でも案外少ない。
そういえば、部屋の冷蔵庫に水を入れ忘れたことに気づいたのもこの時間だった。自分で買いに走らずに済んだのは、彼女が自販機の水を一本持ってきとったからだ。
そこは素直にありがたい。
シャワーは一緒に入った。背中を流す手つきは丁寧だが、そこに何か仕掛けがあるわけではない。ここは正直に書いておく。期待の方向をどこに置くかで、この九十分の満足度は変わる。
名古屋の高級帯として釣り合っとるか
ルックス ★★★★★
スタイル ★★★★☆
おっぱい ★★★☆☆
アソコ ★★★★☆
感度 ★★★☆☆
性格 ★★★★★
ベッドに移ってからは、よかった部分と物足りんかった部分がはっきり分かれた。合う体位と合わん体位も途中で分かったし、この店には料金表の外側にある仕組みもある。そこまで無料で書くと店にも本人にも失礼になるので、続きは限定エリアに回す。
地下鉄で考えとったこと
帰りは名城線で金山まで戻った。コンビニでアクエリを買って、飲みながら考えとったのは「三万二千円ぶんだったか」の一点だけ。終電までまだ間があったので、駅の外でしばらく突っ立っとった。
途中、階段の途中で財布を落としかけて、後ろの兄ちゃんに拾ってもらった。飲んだ量を考えれば当然の報いだがや。
答えは条件つきでイエス。名古屋はコスパええわ、と普段は言うが、この店に関しては値段なりだ。値段以上ではない。誰と、どういう時間の使い方をするかで評価がひっくり返るタイプだと思う。
その条件と、九十分をどう割ったか、どこまでが料金の内側でどこからが外側なのか。全部まとめて限定エリアに書いた。名前とお店はここに出しとるので、隠しとるのは中身だけだがや。