二日前の朝八時半、電話が繋がらない
火曜の昼、八月の名古屋は地下から地上に出た瞬間に息が止まるくらい暑い。それでも電車を乗り継いで錦まで出てきたのは、二日前の朝からずっと引きずっているものがあったからだった。
OPERA(オペラ)のすみれさんは、オンラインの予約枠を持っていない。電話だけ、しかも二日前の朝八時半から。
一度目は呼び出し音のまま切れた。二度目は話し中。三度目でやっと人の声がして、こっちは「あ、すみません、すみれさんでお願いします」と噛んだ。朝から焦った。
錦自体は何度も来ているけれど、この店に絞ったのは去年の冬からだった。二十代後半で、しかも所帯じみていない人だけを探すのは案外むずかしい。若すぎると学生みたいになるし、落ち着きを優先すると今度は年齢のほうが上に振れる。その真ん中を継続的に置いている店はそう多くない。
若妻寄りの人ばかり指名してきたけれど、会う前にここまで消耗する店は久しぶりだった。人妻って響きだけで足が向く自分にとっては、この手間ごと前振りみたいなものだったのかもしれない。
すみれさんは二十七歳で、生活の匂いがする
若さのほう
公称156cmでGカップ。数字だけ並べると作り物みたいだけど、実物は肩から二の腕にかけての線が細くて、そのぶん胸の重さだけが浮いて見える。腰のくびれもちゃんと残っている。
部屋で最初に目に入ったのはブルーのビキニと、腰に巻いたパレオだった。夏らしいというか、リゾートの絵葉書から一人だけ抜けてきたみたいな格好で、ドアが閉まる前からドキドキしていた。
笑うと目が細くなって、そこだけ急に歳相応の幼さが出る。写真で見るより実物のほうが線が柔らかくて、正面より斜めから見たときの輪郭がきれいだった。
肌はふわふわで、触ると指が沈む。まじでこの歳の柔らかさじゃない、って思ってしまった。
人妻っぽさのほう
ただ、若さだけの子ではなかった。話す速度が落ち着いていて、こっちが黙っても間が気まずくならない。年下に気を遣われている感じがまるでしないのが不思議だった。
猫の写真を撮るのが好きだとか、わざわざ手間のかかる料理を作るとか、そういう話をしているときの表情がいちばん生活に近かった。
こっちが仕事の愚痴をこぼしたときの返し方も、慰めるでも励ますでもなく、ただ一段低い声で「それはしんどいですね」と受け止める形だった。この受け方ができる人は、たぶん普段からそういう役回りをしている。
結婚しているかどうかは聞いていない。ただ、生活の匂いのする話をこの温度でできる二十七歳はそう多くないって思ってしまった。若いのに色気が、というより、暮らしの側から染み出してくる色気だった。
ルックス ★★★★☆
スタイル ★★★★★
おっぱい ★★★★★
アソコ ★★★★☆
感度 ★★★★☆
性格 ★★★★★
パレオが床に落ちるまで
受付は基本的に一人体制らしく、電話も案内も同じ人が回している。それでいて待たされた記憶がない。この日はヘルプらしいスタッフだったけれど、説明の丁寧さは変わらなかった。
受付で、希望するプレイに○を付ける紙を渡される。時間が短いと全部は拾いきれないので、ここは欲張らずに絞ったほうがいい。エレベーターが狭いので、紙を見ながら考える時間は意外とある。
部屋に入ってすぐハグ、それからキス。「久しぶりですね、会いたかった」と耳元で言われて、こっちの緊張が一段落ちた。
シャワーはゆっくりめ。背中を流されながら、前に来たときに話した内容をそのまま覚えられていて驚いた。この人はたぶん、客ごとに頭の中でノートを取っている。
そのままベッドに移るまでの空気の作り方が上手くて、こっちは何も主導していないのに、いつのまにか主導している気にさせられている。この背徳感がたまらない、と書くと安っぽく見えるけれど、実際そういう時間だった。
続きは限定エリアに置いておく。九十分の中身と、そのあと自分がどうなったかは、無料で書ける範囲を超えていた。
若妻が好きな人にだけ
予約の面倒さを差し引いても、行く価値はあった。ぶっちゃけ、二日前の朝八時半にスマホを握りしめている自分はちょっと情けないけれど、それでも次も同じことをすると思う。
ひとつだけ言うなら、後半にしてもらったマッサージの力加減はもう少し強くてよかった。そこは完全に好みの問題だと思う。
そういえば帰り、錦のコンビニで水を買って、栄まで歩いてからラーメンを食べた。汗が引かないまま食べる台湾ラーメンは、相変わらず判断ミスだった。