十二月の平日、夕方の吉原。師走に入ったばかりで、街はまだそこまで浮ついていない時期だった。日比谷線で三ノ輪まで出て、そこから歩いた。駅から歩ける距離の店は、移動でテンションが途切れないのがいいんだよね。
正直、平日の夕方なら余裕だろうと踏んでいた。完全に読みが甘い。人気のある店の平日は、そこらの店の週末より混む。ここは覚えておいた方がいいと思う。待っている間に自販機でホットのコーヒーを買おうとしたら売り切れていて、仕方なく冷たい緑茶を飲んだ。十二月に冷たい緑茶はさすがにこたえる。
あいうちさんは前から通っている相手で、今回で三回目以降になる。ただ枠がとにかく取れない。取れた時点でその日はもう半分勝っているようなものなんだよね。この日もたまたま空きを見つけて滑り込んだ形だった。
店の中は落ち着いた作りで、変に派手な演出がない。この価格帯だと内装で誤魔化してくる店もあるんだけど、ここは普通に清潔だった。スタッフの案内も過不足なし。無駄に馴れ馴れしくないのが助かる。
触れてわかること
手が温かい。地味だけどこれは重要で、冷えた手で触られると身体が縮こまって、そのあとの流れが全部固くなる。この人は最初に手を握ってきた時点でしっかり温めてあった。準備をしている人の手だった。
密着したときの圧のかけ方も独特で、体重を全部預けてくるんじゃなく、七割くらいで止めてくる。残りの三割はこちらが引き寄せる余地として空けてある。この配分が絶妙で、自分から動きたくなる作りになっている。
会話のテンポも良かった。趣味の話が思いのほか噛み合って、脱ぐ前にひとしきり盛り上がってしまった。この時間が無駄に感じないのは、単純に相性がいい証拠だと思う。
「今日は寒かったでしょ」と言いながら背中をさすってきたんだけど、この手の動きが完全に洗体の予備動作だった。もう始まってる。
洗体の入り口まで。ここから先は書けない
浴室に入ってからの話をする。ポイントは泡の作り方で、この人はボディソープを手のひらでこすらない。湯とスポンジで空気を含ませてから身体に乗せてくる。だから泡がへたらない。もこもこの状態が最後まで残る。
浴室の椅子に座らされてから、耳の後ろと首筋だけを先に洗ってくる順番も理にかなっている。ここを温めておくと、あとの密着で身体が勝手にゆるむ。順番に意味がある人は信用できるんだよね。
洗い始めは背中から。肩甲骨の内側に指を差し込むように滑らせて、そこから腰へ落としてくる。ここの手の使い方が上手くて、洗われているのかほぐされているのか途中でわからなくなる。ぬるぬると滑る感触だけが残って、こちらの頭の処理が追いつかない。うわ、これはまずいやつだ、と思った。
もうひとつ書いておくと、泡を乗せる位置の順番が毎回同じではない。前回は肩からだったのに、この日は背中の下側からきた。相手の反応を見て組み替えているんだと思う。同じ手順を機械的に繰り返す人とは、ここが決定的に違う。
で、ここから先は限定公開の方に全部書いた。無料側で書けるのは泡がまだ背中にある段階までだと思ってもらえれば。
気になった点も一応残しておく。ひとつはシャワーの湯温が安定しなくて、途中で二回ほど調整が入ったこと。もうひとつは受付から部屋までの動線が短すぎることで、数秒で着いてしまうから心の準備をする時間がない。個人的にはもう少し歩かせてほしい。
帰りは三ノ輪の商店街まで戻ってラーメンを食べた。券売機の前で三分くらい迷って、結局いつもと同じやつを押した。こういうときの判断力は完全に落ちている。
今回の反省点はマットを断ったこと。次はそこまで込みで組み立てたい。