あれは、まだ暑くもなく、かといって寒くもない。
少しずつ秋の気配を感じ始めた、ある平日のことだった。
車で店へ向かい、駐車場に停めるとスタッフの方が快く迎えてくれた。
受付を済ませて店内へ。
ところが、その日はかなり混み合っているとのことで、少し離れた別の場所へ案内された。おそらく姉妹店なのだと思う。
言われるままに移動して、そこで一人、名前を呼ばれるのを待つ。
こういう待ち時間というのは不思議なもので、数分が妙に長く感じる。
今回お願いしたのは郁美さん。
写真はもちろん事前に何度も見ていた。
綺麗な人だな、というのが最初の印象。
ただ、写真から受ける雰囲気はどちらかというと落ち着いていて、少しクールにも見える。
そして、もう一つ。
こういう店を利用するとき、どうしても頭をよぎるのが、いわゆる「パネマジ」だ。
写真の期待値を自分の中で上げすぎないようにしよう。
そんなことを考えているうちに、ついに名前を呼ばれた。
いざ、対面。
結論から言えば、その心配は必要なかった。
目の前に現れた郁美さんを見て、
「あ、本当に写真のままだ」
というのが最初に浮かんだ感想だった。
いや、個人的には写真よりも実際に会ったときのほうが魅力的だったかもしれない。
整った顔立ちにスレンダーなスタイル。
綺麗なお姉さん、という言葉がよく似合う。
ところが、そこで一つ予想が外れた。
「こんにちは」
郁美さんが笑顔で声をかけてくれた。
その声と表情が、写真から勝手に想像していたクールな印象とはずいぶん違う。
柔らかい。
そして思っていた以上に親しみやすい。
こちらが緊張しているのを察してくれたのか、ごく自然に話しかけてくれる。
階段を上がるときには、そっと手を取ってくれた。
まだ会って数分も経っていない。
それなのに、その手に導かれて歩いていると、不思議なくらい緊張がほどけていった。
部屋に入って、改めてご挨拶。
ここでもまた、いい意味で予想を裏切られる。
もっと口数の少ない女性なのかと思っていたけれど、実際の郁美さんは意外なほど愛嬌がある。
「今日はちょうど過ごしやすいですね」
そんな何気ない天気の話をしながら笑う。
こちらも自然と話せるようになっていく。
無理に盛り上げようとしている感じではない。
かといって、よそよそしくもない。
近すぎず、遠すぎず。
この距離感がとても上手い。
しばらく話して、お互いの空気が少しずつ馴染んできたころだった。
「じゃあ……」
その一言で、それまで普通に交わしていた会話が途切れた。
ふっと近くなる距離。
目が合う。
そして、唇が重なった。
さっきまで明るく笑っていた女性が、距離が近づいた瞬間、まるで別の表情を見せる。
その変化が妙に色っぽい。
ただ、郁美さんは最初から強く主導してくるタイプではないように感じた。
こちらが優しく距離を縮めると、それを受け止めるように応えてくれる。
恋人同士が自然に触れ合うような、そんな空気のほうが似合う女性なのかもしれない。
普段の明るい笑顔。
そして、ふとした瞬間に見せる艶っぽい表情。
そのギャップに、完全に心を掴まれた。
ドレスを脱いだ郁美さんは、美しいランジェリー姿だった。
華奢でスレンダー。
けれど、実際に抱き寄せてみると、見た目から想像していた印象とは少し違う。
細いのに、硬くない。
肌は柔らかく、ふんわりとしている。
もう一度、今度はさっきよりも長く唇を重ねた。
写真だけでは分からなかった郁美さんの魅力が、少しずつ見えてくる。
そして――。
この先は、さらに距離が近くなっていく。
ここから先の出来事と、実際に郁美さんと過ごして分かったことは、限定公開のほうに残しておこうと思う。