雨が上がりきらない土曜の午後、日比谷線を三ノ輪で降りて、徒歩で千束のほうへ歩いた。傘をたたむかどうか迷っているうちに靴の中まで湿ってきて、着く前から少し気が滅入っていた。
行き先は台東区のNEO TOKYO。吉原のソープの中ではまだ新しい店で、ロビーには新しい建材の匂いがうっすら残っていた。予約は15時。受付のスタッフは物腰が柔らかく、濡れた傘を黙って預かってくれた。待合のソファは少し硬くて、呼ばれるまでの十分ほどが妙に長く感じた。
S度100%とM度100%、両方を名乗る子に賭けた吉原の土曜
普段はM性感に通う側の人間だ。ソープで「支配される」を探すのは筋違いなのかもしれない。ただ、彼女のプロフィールには「S度100% M度100% きみの解釈で遊んでね」とあった。どちらでもある、と言われると、どちらに転がされるのかを確かめたくなる。そういう性分だ。
予約はなかなか取れなかった。前日の夜になって一枠だけ空いて、半分は勢いで押さえた。仕事の段取りを一つ後ろにずらしたのは、ここだけの話にしておく。
つばさ嬢が主導権を握るまでの数分間
扉が開いて三秒で、負けていた
階段の上で待っていたのは、写真とほとんど変わらない顔だった。目尻が少し上がった猫顔で、とにかく色が白い。164cmの細い体に、胸だけが明らかに重たそうに乗っている。
「来てくれたんだ。緊張してる?」
図星だった。こちらが何か言う前に手首を軽くつかまれて、そのまま部屋まで引かれていく。力は弱い。弱いのに、振りほどく気がまったく起きない。
この瞬間が堪らない。
「解釈はきみに任せる」という罠
ベッドに座らされて、しばらく世間話になった。前職はデザイナーとSEで、休みの日はゲームをしたり絵を描いたりしているらしい。VALORANTの話で盛り上がったのは、まったくの想定外だった。
ただ、話しながらずっとこちらの反応を観察している目をしている。どこで黙るか、どこで笑うか。ほんの数分で、好みの傾向を丸ごと見抜かれた気がした。部屋は空調が弱めで、少し暑い。額に汗がにじんできたのを、彼女はタオルで押さえてくれた。その手つきまで、どこか試されているように感じるのは考えすぎだろうか。
「今日はどっちがいい? いじめる方? いじめられる方?」
答えを委ねられた時点で、実はもう主導権は向こうにある。選ばせる、という形をとった支配。そこに気づいたのは、帰りの電車に揺られているときだった。
洗い場で始まった、小さな支配
服を脱がされるより先に、キスが来た。長い。ねっとりと舌を絡められて、呼吸の置き場所がなくなる。首の後ろに回った指先が、逃げ道をふさぐみたいに動いていた。
そのあと洗い場へ。泡を体の上でトロトロになるまで伸ばされて、指が脇腹から内ももへ、急がずに降りていく。触れているのかいないのか分からない距離でぴたりと止められるのが、いちばん効いた。
途中で、下腹のあたりのツボを押された。反応が良くなる場所なのだという。正直、ここはちょっと痛かった。顔に出たらしく、「痛い? でもこっちは素直だね」と笑われる。
やばい、と思った。…もう、ダメだ。
洗い流すところまで、一つひとつの動作に迷いがない。手際の良さに感心しているうちに、こちらの余裕だけがどんどん削られていった。ここまでで、まだ半分にも届いていない。
この先、寝室で何が起きたのか。その記録は限定エリアに置いておく。
解放されたあと、しばらく口が利けなかった
上がってから、待合で出されたお茶を半分残した。喉は渇いているのに、湯呑みを持ち上げる気力がなかった。
自分の方が早々に降参してしまったのは、情けない結果でもある。相手が上手すぎると、M側は抵抗する前に終わってしまう。そういう種類の負け方だった。
そういえば、昼を抜いていたのを店を出てから思い出した。入谷のほうまで歩いてラーメンをすすりながら、ずっと考えていたのは、S度とM度、結局どちらの彼女を見たのかということ。答えはまだ出ていない。たぶん、両方を同時に見せられていたのかもしれない。
ルックス ★★★★★
アソコ ★★★★☆
スタイル ★★★★★
感度 ★★★★☆
おっぱい ★★★★★
性格 ★★★★★
名前も店も、ここまでで隠していない。ただ、寝室での支配の中身と、彼女が教えてくれた「1番奥」の話は、限定エリアにだけ書く。同じ快楽を求める者へ。