新人に賭けた夜 — びくびくサークル五反田店
金曜の仕事帰り、五反田で降りた。ホームの階段を上がりきった時点でシャツが背中に貼りついていて、六月にしては暑い日だったと思う。改札を出てから、駅前の人混みを避けるように高架沿いを歩いた。部屋は駅から徒歩数分のところに取ってある。
ふだんは攻められに行く側の人間で、選ぶのはM性感やSM寄りの店ばかり。それがこの日はデリヘルで、しかも入店したばかりの新人を指名している。理由はひとつだけで、店のページに本人の言葉として「喉の奥まで咥えるのがだいすき」と書いてあったから。ほかの煽り文句とは温度が違って、そこだけ妙に生々しく見えた。
コースは90分。
五反田は勤務先からの帰り道にあたるので、月に一度くらいの頻度で寄っている。このグループには前にも一度だけ別の子で入っていて、そのときは可もなく不可もなくという記憶で終わった。悪くもなかったから、店そのものに含むところがあったわけではない。今回は完全に、あの一行に釣られた形になる。
新人を選ぶのは賭けだと分かったうえで押したのだから、外したときに文句を言う筋合いはない。ただ、何がどう外れて、どこだけが本物だったのかは、残しておく価値があると思っている。
こはくは攻める側ではなかった
差し入れの紙袋を抱えて入ってきた
チャイムが鳴ってドアを開けたら、「重い〜」と言いながら紙袋を両手に提げたこはくが入ってきた。差し入れらしい。身を委ねる気で待ち構えていたこちらの姿勢は、その一言で崩れた。悪い意味ではなく、余計な力は抜けた。
写メ日記のコメント欄で何度かやり取りしていたので、準備は早い。お互い加熱式タバコを吸いながら、しばらく雑談していた。一日いくらを目標にしている、という話を向こうから振ってくる。ぶっちゃけ、こういう開き直り方をする子は嫌いではない。
そういえば、来る途中にコンビニで買った水を、鞄に入れたまま最後まで飲み忘れていた。
照明を落とされた理由
服を脱いでからが本題だった。顔は写真のままで、そこは裏切られていない。ただ、体つきはこちらが写真から組み立てていた像とはだいぶ違っていて、下着のラインが腰の上で二段に分かれている。ここを長所として選ぶ人には当たりだと思う。自分の好みとは違った、というだけの話で、そこを責める気はない。
携帯で撮ってもいいか聞くと、「自分の顔が映るの、ニガテなんです」と外カメに切り替えられた。撮影可を前面に出している店で、それを本人が嫌がる。この時点で一度、気持ちが下に落ちた。
続けて本人の手で照明が絞られた。暗がりで輪郭がぼやけたぶん、結果としては悪くなかったのかもしれない。ただ、暗くしないと成立しない見せ方なのだとしたら、店の紹介文はもう少し正直でよかった。手を使うのはあまり好きじゃない、と早い段階で言われたのも、無料オプションにずらりと並んでいる内容とは噛み合わない。焦ったわけではないが、頭の中で組み立て直す時間にはなった。
ルックス ★★★☆☆
スタイル ★☆☆☆☆
おっぱい ★★★★☆
アソコ ★★★☆☆
感度 ★★☆☆☆
性格 ★★★☆☆
胸だけは表記どおりだった。横になれば流れていくが、ぷるぷると揺れる質感は手のひらに残る。下は事前に聞いていたほどきつくはなく、標準。腰の位置が低いので、何をするにも枕を一枚足したほうが早かった。
喉の奥だけは嘘がなかった
売りにしていた喉奥のやつ。これは本物だった。
かなり奥まで押し込んでも、えづかない。ゆっくり引いて、また沈める。ねっとりした感触が途切れずに続いて、途中から自分が何をしに来たのか分からなくなった。攻められに行ったはずの人間が、気づけば相手の頭に手を置いている。
主導権を渡しに来たのに、受け取る相手がいなかった。この反転は、正直やばい。この瞬間が堪らないと思ってしまった時点で、こちらの負けなのかもしれない。
ここに至るまでの前半で、こちらは完全に受け身の姿勢を作って部屋に入っている。それを一度たたんで組み直さないと、この子の土俵には乗れない。そういう手間を客に踏ませる時点で設計としてどうなのか、という気持ちと、踏まされたからこそ後半が効いたという気持ちが、帰りの道で半々になっていた。
途中で別料金の相談を持ちかけられたが、それは受けなかった。提示された金額と、断ったあとどう転がったのかは、限定エリアのほうに置いておく。
まとめると、90分のうち満足したのは後半の三十分ほど。前半は物足りなかったし、店の見せ方と実物の差は最後まで埋まらなかった。それでも喉の奥のところだけは、払った額に見合っていた。
帰りは高架下でラーメンを食べて、電車で一駅寝過ごした。