夜勤明けに沼津まで走った理由
三交代の夜勤が明けたのが朝の五時半だった。応援で沼津の工場に一週間だけ入っていて、宿舎に戻っても目だけが冴えて眠れない日が続いていた。木曜のその朝も、シャワーを浴びたあとに寝るのをあきらめて、そのまま車を出した。
夜勤明けで頭が動いていないときほど、人は変な決断をする。
浜松は同じ静岡県でも西の端で、東部の店にはまったく土地勘がなかった。それで見つけたのが「ぽちゃカワ革命 ポッチャdoll 東部」というデリヘルで、沼津駅の周りを派遣エリアにしている。宿舎から車で二十分ほど、ホテルの駐車場に停めて部屋を押さえるところから始まる形だった。
デリヘルなので店舗の待合はなく、取ったホテルの部屋がそのまま待合になる。受付とのやり取りは終始丁寧で、料金の内訳を先に全部説明してくれたのが好印象だった。指名は写真を見て自分で決める方式で、システム自体に込み入ったところはない。百分のコースで一万五千円ほど、これに室料が別でかかる。夜勤明けの財布にはきつい買い物だったが、この週はどうせ家に帰れないので、使うあてもない金だった。
眠いのに、腹はまったく減らない。
沼津駅の南側は飲み屋の看板が固まっているエリアで、朝方に通るとその全部が消えていて妙に静かだった。夜の顔しか知らない街の、電気の落ちた状態だけを先に見てしまった気分になる。ホテルもその並びにいくつか固まっているので、初めてでも迷う要素はほとんどなかった。
そういえば来る途中のコンビニで買ったおにぎりを、結局そのまま鞄に入れっぱなしにしていた。
深夜の沼津と、みゆかという子
部屋にたどり着くまで
沼津の街は朝の六時台だと人がほとんど歩いていない。夏の終わりでまだ暑い日が続いていて、車を降りた時点で背中にシャツが張り付いた。ホテルの部屋は思ったより狭い。ベッドと洗面台で埋まっていて、鞄を置く場所を探すのに少し焦った。
エアコンを最強にして、シャワーを浴びる。髪を乾かし終わったあたりで、ちょうど時間だ。
顔を見た瞬間に固まった
ドアを開けたとき、自分はたぶん一瞬止まっていた。ぽっちゃり系を看板にしている店だし、こちらもそのつもりで指名したのに、廊下に立っていたのは正直ビビるレベルの美女だった。小顔で色白で、笑い方がやわらかい。二十三歳、身長は百五十に届かないくらいで、胸はDカップ。数字だけ並べるとよくある感じなのに、実物から受ける印象がまったく違った。写真指名でここまで上振れしたのは記憶にない。というより、宣材のほうが実物に追いついていないという珍しいパターンで、こんなことが本当に起きるんだなと廊下で一人で思っていた。工場の近くにも同じような業態の店はあるが、そっちで写真と実物の差にがっかりした回数のほうが圧倒的に多い。
「はじめまして、みゆかです」と言いながら靴をそろえるところまで、動作がいちいち丁寧だったな。声が小さめで、こちらが聞き返すと恥ずかしそうに言い直す。その反応がまた良かった。
部屋に入ってすぐ気づいたのは、においがしないことだった。タバコを吸わない子で、髪からも服からもあの匂いが一切しない。夜勤明けの鼻は妙に敏感になっていて、こういうところがやたら気になる。清潔感という言葉は安易で好きではないんだが、この日はそれ以外に浮かんでこなかった。
ルックス ★★★★★
スタイル ★★★★☆
おっぱい ★★★★☆
アソコ ★★★★☆
感度 ★★★★★
性格 ★★★★★
入り口のところまでは書ける
会計を先に済ませて、そのあとは軽い雑談だった。応援勤務の愚痴とか、沼津のどこに飯を食いに行けばいいかとか、その程度の内容。こっちが夜勤明けで眠いとこぼしたら、じゃあ横になってくださいと言われて、そこから自然に距離が詰まっていった。
気がついたら雑談がいちゃいちゃに変わっていて、どこが境目だったのか今でも思い出せない。
ここが分岐点だった。
キスがやたらと長い。ねっとりという表現がこれほど当てはまる子も久しぶりだった。首筋に唇が来た時点で、こっちの眠気は完全に飛んでいた。
ここから先は、まじで書ける気がしない。この朝の後半に起きたことと、料金や指名のコツみたいな実務の話は、限定エリアのほうにまとめておいた。
帰りの東名で考えたこと
帰り道、目をつけていたラーメン屋がまだ開いていなくて、結局コンビニのおにぎりを車の中で食べた。
眠気は戻ってこなくて、宿舎に着いたのが九時前。それから夕方まで泥のように寝た。起きたときには、さっきまでのことが夜勤の疲れが見せた夢だったんじゃないかと本気で思った。
夜勤明けの体で行く店として、ここは当たりだった。疲れきっているときに気を遣わせない子というのは想像よりずっと貴重で、癒し度でいえばかなり上のほうだったな。ぽっちゃりの看板に惹かれて来たわけではなかったのに、結果として一番よかったのがそこと関係ない部分だったのは、自分でも意外だった。三交代が続くと人と話す量が極端に減るので、たぶん自分に効いたのは体のほうじゃなくて、まともに会話が成立する時間そのものだったんだと思う。