京都から湖の東へ、四十分
木曜の午後だった。京都駅で新快速に乗って、湖の東側へ向かう。四十分もかからずに守山へ着いてしまう。京都は表と裏があって、木屋町の奥に入るほど夜が面白くなるものだが、たまには県境を越えたくなる日もある。
八月の滋賀県は、盆地とはまた質の違う暑い日で、駅を出た瞬間に首の後ろが焼けた。ロータリーの向こうにコンビニがひとつ。タクシーは客待ちが二台。守山市の駅前は、想像していたよりずっと静かだったな。
そういえば、出る前に烏丸で食べたラーメンが妙にしょっぱくて、電車の中でずっと喉が渇いていた。
デリヘルという業態は、街に顔を出さない。だから土地の空気は自分の足で拾うしかない。湖岸の方角へ少し歩いてみたら、夕方前の光がやたらと白かった。祇園の雰囲気で飲み歩く夜とは、まるで別の種類の時間が流れている。
じゃむじゃむで指名した、ここなという子
滋賀県守山市のデリバリーヘルス、じゃむじゃむ。指名は写真と日記を眺めて決める形で、こちらは名前を伝えるだけで話が済んだ。受付から部屋へ案内が入るまでの段取りが早く、待たされる時間がほとんどない。初見の客に対してスタッフの応対に過不足がないというのは、それだけで安心できる。
オプションは数の制限なしで付けられる仕組みになっていて、最初はどれを頼むべきかしばらく迷った。先に書いておくと、迷う必要はまったくなかった。理由は後で分かる。
写真で選んだ子がそのまま来るのかどうかは、この手の店で最後まで気を揉む部分ではある。守山という土地は人の集まる場所が駅前に寄っていて、ホテルの選択肢もそれほど多くない。だから初回は移動の手間を減らそうと、駅から歩ける範囲で部屋を取ることにしたのだが、これが正解だったかは今も微妙なところだな。八月の午後に荷物を提げて歩く距離ではなかった。
結論を先に言えば、写真は写真のままだった。
取った部屋がとにかく狭い。ベッドと壁の隙間に鞄を置いたら、もう自分の立つ場所がなかった。
前髪パッツンと、白い肌のこと
ドアを開けた瞬間、前髪の切り揃え方が完璧に似合う子が立っていた。T163という数字を先に見ていたので、もう少し目線が上に来ると思っていたが、実際に向かい合うと視線の高さがちょうどいい。肌が白い。廊下の蛍光灯の下でも、そこだけ光の色が違って見えた。
「はじめまして、ここなです」と言いながら靴を揃えるところまで、一連の動作に淀みがない。
座って五分も経たないうちに会話が回り出した。前から知っている相手と喋っているような感覚になる。京都から来たと言うと、「え、まじで嬉しい」と笑って、そこから琵琶湖の話と京都の話が交互に続いた。愛嬌という言葉は安く聞こえるが、この子の場合はそれが最大の武器ではある。
ルックス ★★★★☆
スタイル ★★★★☆
おっぱい ★★★☆☆
アソコ ★★★☆☆
感度 ★★★★☆
性格 ★★★★★
二十五歳。数字の上では若いだけの子ではないはずなのに、笑い方にはまだ幼さが残っている。Cカップという申告は、脱いだあとの印象と食い違わなかった。
距離が詰まるまでの、最初の十分
この子の売りは密着だ。肩が触れた時点でそれは分かった。とにかくキスの回数が多い。会話の切れ目ごとに、ごく自然な流れで顔が近づいてくる。頬に手を添えられて、こちらが何か言いかけた言葉ごと持っていかれる。
こちらから仕掛ける必要がまるでない。京都の店で気を遣いすぎて、疲れて帰る夜が何度もあった。この日はその心配が最初の十分で消えてしまったな。
先の話は、ここには書かない。
部屋の中で何がどこまで転がったのかは、限定エリアの方に置いておく。粋な遊び方というのは、全部を表に並べないことでもある。
ドアが閉まってからの帰り道
終わりの時間が来て、廊下まで送りに出てきた。エレベーターの前でもう一度だけ抱きしめられて、それで終わりだったな。
帰りの新快速は空いていた。窓の外が暗くなっていくのを眺めながら、四十分かけてここまで来た理由を、はっきり言葉にできる自分がいた。
一度で終わらせるつもりだったのだ。それが京都駅に着く頃には、次はいつ空いているのかを勝手に計算していて、我ながら焦った。二十回、三十回と同じ子に会い続ける人間がいるという話を、以前はどこか他人事として聞いていた。この日を境に、その気持ちが少し分かるようになったのは事実ではある。
名前も店も伏せる必要のない子だから、ここまでは全部書いた。ただし、部屋の中での話と、指名するときに知っておくと得をすることは、限定エリアの方に分けてある。