木曜の夜、残業を早めに切り上げて電車に乗りました。鶯谷で降りるのは今年に入って三度目になります。一度目も二度目もどこか噛み合わないまま終わったのに、懲りずにまた予約を入れてしまうのだから、我ながら学習能力がない。
ホテルの前で二十分ほど待たされたのは、正直あまり気分の良いものではありません。遅れるなら遅れると一報が欲しかった。少し不安になってコンビニで缶コーヒーを買い、戻ってきたところでちょうど電話が鳴りました。段取りとしては悪くない部類なのでしょうかね。
待ち合わせの部屋にて
あの晩の顛末
顔合わせ
ドアを開けて最初に思ったのは、笑顔の作り方が上手い方だな、ということでした。三十代の半ば。挨拶の間合いが落ち着いていて、言葉のやり取りに引っかかりが一切ない。会話が普通に成立するというのは、それだけで一つの価値だと私は思っています。
ただ、サイトに並んでいた数字と目の前の体は、明らかに別物でした。
うそだろ、と口には出さずに飲み込みます。一つ違う程度なら誤差でしょう。二つでも写真の角度ということにしておきます。しかし本人が自分から申告した実寸と掲載値の開きは、そういう次元ではありませんでした。うーん、と唸ってしまった。
「盛ってるの、バレちゃいますよね」と苦笑いされて、こちらも笑うしかない。責めるべきは彼女ではなく、あの数字を載せている側でしょう。隠さずに先に言ってくれた分、印象はむしろ上がりました。
ふたりの時間
シャワーは彼女が先に浴びて、その間に部屋を眺めていました。ベッドと小さなテーブル、あとは曇った鏡。狭いというほどではないが、広くもない。テーブルの端に電子タバコが置いてあったので吸うのかと尋ねたら、「今は吸いません」と首を振られました。最後まで一度も手に取らなかったので、こちらに気を遣ってくれていたのだと思います。
私が浴び終えて出ると、彼女はもうベッドの上で待っていました。タオルを取って隣に座る。肌はきれいに手入れされていて、彫り物の類は背中も含めて一つもありません。下は完全に処理されていて、指を滑らせても引っかかるものが何もない。この年齢でここまで行き届いている方は、私の経験上そう多くないです。
体つきは、細身と標準のちょうど境目あたり。骨が浮くほど痩せてはいないし、余っているわけでもない。抱いたときに手のひらに収まる分量が心地よくて、胸の大きさが掲載どおりでなかったことなど、この時点ではもうどうでもよくなっていました。
キスから入りました。舌の使い方は丁寧で、こちらの動きにきちんと合わせてくる。ただ、合わせてくるだけで、そこから先へ引っ張っていく気配はありませんでした。首筋から鎖骨へゆっくり降りていくと「くすぐったい」と小さく声が漏れる。反応そのものは素直です。ねっとりと絡めてくるタイプではなく、あくまで受け身に徹する方でした。
胸に手を這わせると息が上がってきます。舌先でぺろ、と転がすたびに膝が寄ってくる。ここは良かった。
逆にこちらが受ける番になると、物足りなさが残りました。口に含んでからの動きが単調で、深さも速さも最初から最後まで一定なのです。歯が当たるようなことは一度もなく、丁寧といえば丁寧。しかし丁寧と事務的は紙一重で、今回はどちらかというと後者に寄っていました。驚かせてやろうという気概のようなものは、最後まで出てこない。手の添え方だけは上手かったので、力加減の引き出しがもう一段あれば印象は大きく変わるはずです。
ゴムの話は、結局一度も出ませんでした。
そのまま体を重ねて、正常位から。ぬるぬると迎え入れられて、遮るものが何もない状態で繋がっている感覚は、やはり別格でした。彼女もそこは分かっていて、腰を浮かせて角度を合わせてくる。「もっと奥、大丈夫です」と耳元で言われたときは、さすがに声が出そうになりました。
この日の空気感
途中で横向きに変えて、背中から抱える形へ。この姿勢のときが一番よく声が出ていて、肩がビクビクと跳ねていました。演技かどうかを疑う癖が私にもありますが、少なくとも呼吸のリズムまでは作り物ではなかったと思います。
最後は上に乗ってもらって終わりました。動きは大きくありません。ゆっくり体重をかけてくる程度で、こちらが下から動くとバランスを崩しかける場面もあった。ここも、慣れているようで慣れていない。中で終えることに一切の躊躇がなく、そのあともしばらく体を離さずにいてくれたのは、気分としてはありがたかったです。
拒まれたものは、この九十分で一つもありませんでした。NGがないというのは、この街のこの手の店ではもう前提なのかもしれません。ただ、拒まれないことと満たされることは別の話です。部屋を出るときに記憶に残っていたのは体の相性の良さであって、彼女の技量ではなかった。
帰り際
片付けを終えたあと、五分ほど雑談をしました。仕事の話、この街の話。日本語には全く不自由がなく、こちらの軽口にも一拍で返してくる。この時間は素直に楽しかったです。
玄関で靴を履いていると、「また来てくださいね」と言われました。営業だと分かっていても、押しつけがましさのない言い方をされると悪い気はしないものですね。
外に出たら小雨が降り始めていて、傘も持たずに出てきた自分が情けない。駅まで小走りで戻り、途中のラーメン屋で一杯やってから帰りました。
また伺うかどうか
この方を指名するかと問われれば、次はしないと思います。悪い方ではありません。人としてはむしろ好ましい。ただ、この街で使う金額と時間を考えたとき、もう少し先まで連れて行ってくれる方がいるはずだという気持ちが、どうしても消えませんでした。
とはいえ、店そのものへの評価はまた別の話です。拒まれないという一点において、ここは信用できる。次に予約を入れるとしたら、別の方を指名して四度目に挑むことになるのでしょう。学習能力がないと最初に書きましたが、要するにそういうことです。
この方のお名前とお店の情報は、登録者限定エリアで公開しています。同じ判断をご自分の目で確かめたい方に。