盛岡から仙台まで、二時間の言い訳
土曜の午後、盛岡の家を出た。予定していた仕事が一日早く片づいて、ぽっかり空いた時間の使い道に困っていた、というのが正直なところ。駅の売店でコーヒーを買って、電車に揺られながら外ばかり眺めていたな。八月の終わりの東北は、昼はまだ暑い日が続くのに、日が傾くと風の質が急に変わる。あの温度差が嫌いではない。
仙台に着いたのは16時前だった。青葉区の国分町のあたりは、まだ夜の顔になっていない時間帯で、看板の電気も半分は消えている。ホテルに荷物を置いて、窓から通りを見下ろしながら改めて考えた。せっかく空いた半日を、ビジネスホテルのベッドで潰すのはあまりに惜しい。
嗚呼、四十五歳以上。この店名を初めて見たときは、正直に言って笑ってしまった。ここまで言い切る店も珍しい。若さを売りにしないと決めた店だけが出せる開き直りというか、その潔さが妙に信用できる気もしたんだな。
年下の子に気を使うより、同じ時間を生きてきた人と話したい。そういう気分の日だった。
まりなという人と、青葉区の一室で
ここはデリヘルなので、こちらが部屋を用意して待つ形になる。希望していた時間には先約が入っていたようで、少し後ろにずらす案内をもらった。その折り返しがとにかく早い。温かい対応で、待たされている感覚がまったく残らなかった。派遣先は仙台市の中心部が主になっていて、指名は掲載されている写真とプロフィールを見て自分で選ぶ。まりなを選んだ理由は、載っていた一枚がやたら健康的に見えたから、本当にそれだけだった。何人も見比べて迷ったわけではない。
ドアを開けた最初の三秒
17時10分、ノックの音が思っていたより控えめだった。開けた先に立っている人を見て、三秒くらい言葉が出てこない。
55歳。プロフィールの数字を見て身構えていたのに、廊下の光の下に立っているのは肌の張りがそのまま残っている人で、四十そこそこにしか見えなかった。化粧で誤魔化している感じでもない。
「遅くなってごめんなさいね」
第一声がそれ。こちらが勝手に押しかけた側なのに先に謝られて、なんだかバツが悪い。T150だから、並ぶと自分の肩より下に頭がある。細いというより、余計な力の抜けた体つきだったな。写真で受けた印象より、実物のほうが柔らかい。
手のひらの温度でわかったこと
座って少し話した。盛岡から来たと言ったら「わたし、冷麺が好きなの」と笑って、そこから食べ物の話に転がっていく。そういえば仙台のラーメン屋がどうこうという話まで脱線して、気づけば十分近く経っていた。こちらのテンポに合わせるのが上手い人だと思う。間が空いても気まずくならない。
手を握ったとき、指先がひんやりしていた。外が暑かったぶん冷房を強くしすぎた部屋で、こちらの手も同じくらい冷えていたはず。「手、つめたい」と言われて、そのまま自分の頬に当てられた。
こういう距離の詰め方をされると弱い。
この子の人柄が、たぶん一番の武器なんだと思う。肌はもちもちしていて、腕の内側は二十代のものと大差なかった。C86という数字も盛られていない。年齢を隠さずに看板に掲げている店だからこそ、実物が数字を裏切らないことに意味がある。
点数をつけるなら
ルックス ★★★★☆
スタイル ★★★★☆
おっぱい ★★★☆☆
アソコ ★★★☆☆
感度 ★★★★★
性格 ★★★★★
感度に満点を付けたのは、後で書く理由がある。おっぱいとアソコが三つなのは、そこが売りの人ではないというだけの話で、減点したい気持ちは一切ない。この人の値打ちは形の良さではなく、反応の素直さのほうにある。
ここから先は限定エリアに預ける
シャワーを浴びてからの流れは、ここには書かないでおく。書けば長くなるし、なにより、この手の時間は言葉にするほど色が薄まる気がしたんだな。
ひとつだけ触れておくなら、攻めるより攻められるほうが得意な人だった。受け手に回ったときの反応が、55という数字とまったく結びつかない。声の出方も体の跳ね方も、こっちが焦ったくらい。
その先の細かいところと、指名するときのコツは限定エリアに置いておく。
見送ったあとの国分町
エレベーターまで送って、扉が閉まる直前に「また来てね」と言われた。社交辞令だとしても、東北の人はこういう一言の温度が違う。
部屋に戻ると冷房の音だけが残っていた。窓の外はもう完全に夜で、国分町の看板が全部起きている。コンビニで水を買って、牛タンでも食べてから帰ろうかと思ったけれど、まじで食欲がわかなかった。ああいう時間の後は腹が減らないものらしい。
別れ際があっさりしている代わりに、次に会ったときの距離が変わらない。まりなもそうだった。日帰りにするつもりが結局もう一泊したのは、たぶんそのせいで、それはそれでよかったな。