水曜の午後、池袋に着いたときには雨が本降りになっていた。
仕事の打ち合わせがひとつ飛んで、ぽっかり空いた三時間。西口の改札を出ると、ロータリーのタクシーがワイパーを同じリズムで振っていて、濡れたアスファルトに信号の赤が長く伸びていた。駅前のコンビニでビニール傘を買う。六百円。こういう日に限って、家の傘立てには三本も眠っている。
雨の西口、坂の途中で決めたこと
予約は前の週から入れてあった。人妻専門のデリヘル「マイふぇらレディ」。空き枠がほとんど出ない人だと聞いていて、たまたま画面に一つだけ残っていた15時を、半分は勢いで押さえた。
受付で支払いを済ませ、教わったホテルまで徒歩で五分ほど。坂を下る途中で、靴の中まで水が入ってきた。靴下が冷たい。正直、この時点で気分は少し沈んでいた。
部屋は狭い。ベッドの横にやっと椅子が一脚入る程度で、窓の外は隣のビルの壁だった。
部屋番号を伝えて間もなく、スタッフから確認の電話が一本入った。律儀な店だ、と思いながらカーテンを少し開ける。雨粒がガラスを斜めに流れていく。
ドアの向こうの、白いカーディガン
湿気で跳ねた前髪と、目尻の笑い皺
インターホンが鳴った。
ドアを開けると、クリーム色のカーディガンを羽織った女性が、少しだけ肩をすくめて立っていた。色が白い。顔が驚くほど小さい。雑誌の読者モデルにいそうな、品のいい奥さん、というのが最初の印象だった。
「雨、すごかったでしょう。髪がね、こうなっちゃうの」
そう言って笑いながら、跳ねた前髪を指で押さえる。湿気で爆発するのだと、困ったように言う。その困り方がやけに可愛くて、濡れた靴のことはどうでもよくなった。四十代だと聞いていたが、目尻に寄る細い皺まで含めて、きれいな人だった。
指先のひんやりと、首筋の温度
ソファに並んで座ると、膝が軽く触れた。指先はひんやりしているのに、寄りかかってきた肩のあたりは温かい。
会話は、思っていたよりずっと軽かった。駅前のラーメン屋の行列の話、雨の日は洗濯物が乾かないという話。少し天然で、言い間違えては自分で笑う。緊張していたのはこちらのほうで、その緊張を、彼女は笑顔ひとつで溶かしてしまった。
八十分の水面で、溶けていったもの
即尺のオプションを付けてあった。
話の途中で彼女がすっと床に膝をつき、ズボンのベルトに手をかける。さっきまでの天然ぶりが嘘のような、迷いのない手つきだった。ちゅぱ、と小さな音がして、温かい口の中にねっとりと包まれる。上目遣いで一度だけこちらを見て、また目を伏せる。まじで、と思わず声が漏れた。
シャワーでは、泡を手のひらで広げて首から背中まで丁寧に洗ってくれた。鏡越しに目が合うと、恥ずかしそうに逸らす。さっきの即尺とこの照れ方が同じ人の中にあるのが、不思議だった。
ベッドに移ってからの最初のキスは、少しぎこちなかった。こちらが焦って顔を寄せすぎたせいで、鼻が当たって二人で吹き出した。二度目からは、彼女のほうが舌を絡めてきた。
乳首に触れると、細い肩がびくっと跳ねる。
「そこ、弱いの……両方して」
ソフトに、指の腹で撫でるくらいがいいらしい。強く摘まむより、触れるか触れないかの距離で円を描いたほうが、甘い吐息が長く続く。背中を指でなぞると、今度は首をすくめて笑った。脚の間に手を伸ばすと、もうトロトロになっていた。
おもちゃが好きだと言うので、持ってきていたローターを渡すと、自分でクリに当てて、こちらの手を両方の胸に導く。三か所を同時に責められるのがいちばん弱いのだそうだ。すぐにイける体質じゃないの、と言っていたのに、腰が浮いて、シーツを握る指に力が入って、長い声を上げて果てた。
攻められるのが好きな人だ、と思った。こちらの手の動きに合わせて、少しずつ体を開いていく。けれど、攻めるのも好きだと言う。今度は彼女が上になり、乳首を舌で転がしながら、手でゆっくりとしごいてくる。ご奉仕させてね、と囁く声が耳のすぐそばにあった。
そして、ゴムはなし。
彼女のほうから腰を落としてきて、そのまま生で奥まで入った。NS。ぬるっとした熱が根元まで絡みついて、動くたびに彼女の奥が小さく締まる。正常位に変えると、脚を腰に回して引き寄せてくる。窓の外の雨音と、彼女の声と、ベッドの軋む音が一つに混ざっていた。
最後は抜いて、お腹の上に出した。
彼女は息を整えながら、ティッシュで丁寧に拭いてくれて、それから胸に頬を乗せてきた。汗で額に貼りついた前髪を、今度はこちらが指でどけた。
残りの時間は、ほとんど話していた。映画の話。お酒が飲めないという話。息子がもう大きいから夜も出られるようになった、という話。八十分は短かった。延長しておけばよかったと、シャワーを浴びながら本気で後悔した。
ホテルを出て、傘を差さずに
「また会いたいな」
ドアの前で、彼女は小さく手を振った。社交辞令でもいい、と思える言い方だった。
ドアが閉まる。廊下の蛍光灯が、やけに白い。
外に出ると、雨はほとんど上がっていた。ビニール傘を畳んだまま駅まで歩き、ガード下の店で一杯のコーヒーを飲んだ。舌の上に、まだ少し彼女のキスの感触が残っていた。
ルックス:★★★★★
スタイル:★★★★☆
おっぱい:★★★★☆
アソコ:★★★★☆
感度:★★★★☆
性格:★★★★★
あの雨の午後の彼女の名前と、なかなか取れない枠を押さえるためのコツは、有料エリアに記しておく。